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2007年5月 3日 (木)

憲法九条を世界遺産に

憲法記念日の今日にふさわしい一冊、「憲法九条を世界遺産に」(集英社新書)をご紹介します。著者は、お笑いタレントの太田光さんと思想家の中沢新一さん。
この本が売れているのは知っていましたが、「どうせタレント本の類だろう」ということで、正直あまり注目しておりませんでした。ある日の出張で、本も雑誌も忘れたとき、羽田空港の書店でこの本を買いました。この本を読むまで、私はどちらかといえば改憲論者でしたが、そうはっきりと思っていたわけでもなく、この本でその辺が揺さぶられるとは思っても見ませんでした。

ところがこの本は冒頭からがつんとやってくれます。
第1章が「宮沢賢治と日本国憲法」。なんだそりゃ? ですよね。私も学生時代、児童文学のゼミにいたことがありますので、多少は詳しいつもりでおりましたが、こういう関連(詳しくは本書をお読みください)は考えもしませんでした。賢治が晩年傾倒していく日蓮宗と戦争の関係から、「戦後の日本がすべて破棄した『戦前』という時代を、見直してみるべき」という主張は、かなり説得力がありました。
第2章の「奇蹟の日本国憲法」では、日本国憲法の成立が、突然変異によるものだと指摘しています。

実に、日本国憲法とは、一瞬の奇蹟であった。それは無邪気なまでに理想社会の具現を目指したアメリカ人と、敗戦からようやく立ち上がり二度と戦争を起こすまいと固く決意した日本人との、奇蹟の合作というべきものだったのだ。(集英社サイトより引用)

そうした合作だからこそ夢の場所、ということができるし、夢があるから生きられる――日本国憲法は、そうした日本人の心のよりどころなのだという主張が、この本では、さまざまな比喩や具体例によって展開されます。

世の中は、正しいか正しくないか、気持ちよいか気持ち悪いか、といった二元論でくくられることが多くなってきているようです。正しいと決めたら、や り過ぎと思えるほど持ち上げ、悪いと決めたら、徹底的にたたきます。しかし、絶対善や絶対悪というのは、観念の中にしかありません。実際には、すべてのも のに善も悪も包含しているのではないでしょうか。

「日本国憲法は、たしかに国際的には無茶な作りをしている。しかし、人類の夢がある。夢があるから、無茶だけどつきあってみようよ
というのが本書の主張だと、私は読み取りました。
そして今、私は、その考えに非常に賛同しています。

こちらで少し立ち読みができるようです。ご興味のある方はどうぞ。

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