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2007年6月21日 (木)

米米ワールド

「子ども米レンジャーと旅する 米米ワールド -時空を超えた小学生による『お米白書』-」伊藤秀一・三宅貴久子共編(高陵社書店)

いまから3~4年前、本書の著者の一人である、三宅貴久子先生からこの本をいただきました。当時、「総合的な学習の時間」は何かと話題でしたが、パソコンをメインにした活動以外は、あまり興味がなかった私は、正直「こんな分厚い本をもらっても・・」と困った覚えがあります。しかし、パブロフの犬のように、本を渡されるとつい読んでしまう性質の私は、読み始めてびっくり。これは小学校の子どもたちが、自分で調べて作りあげた書籍だったのです。

「うちの子どもでも調べ学習くらいやるよ」とお考えになる、親御さんもいるでしょう。しかし、この本を書いた子どもたちの『調べ学習』は半端ではありません。

  • 東京の小学生と岡山の小学生が、共同し、時には競い合いながら、お米について一つのテーマを追いかけて調査し、まとめたこと
  • 2つの小学校は、インターネットの掲示板やテレビ会議を駆使して情報交換ができるほどITスキルが高いのに、調査の中心は実際に調査に出かけるフィールドワークであること
  • フィールドワークの一環として街頭アンケートを行うが、回答してくれる大人は少ないなど、現実に直面する。しかしその中でも、活動意欲を継続してやり遂げたこと
  • 手間と時間のかかるフィールドワーク中心にもかかわらず、調査のテーマが「社会」「料理」「くらし」「自然」「国際」と多岐にわたっていること

いくら6年生とはいえ、小学生がここまでやり遂げるのは、想像を絶する大変さだったと想像します。事実、巻末に掲載された保護者の文章には、週に3回野球に通っているお子さんが、毎日深夜まで調査データをまとめていたことが書かれています。子どもたちは肉体的にも精神的にも大変だったことでしょう。
しかし、どうして続けられたのでしょうか。
この活動を指導された先生たちの書かれた文章を総合すると、それは責任感と友情といえるでしょう。ネットとテレビ会議で友情が芽生えるのか、と疑問を持つ方もおられると思いますが、これだけの困難を乗り越えただけに、少なくとも連帯感や仲間意識は芽生えたのではないかと思います。

この本には、活動を指導した先生方の様子は、あまり書かれていません。それでも先生方の大変さは、ある程度想像できます。また、この本を編集した出版社の方も、そうとう大変だったはずです。
子どもたちが書いた本、というのは、私もなんどか目にしたことはありますが、この本はそのどれにも似ていません。限界を超えてがんばれる子どもたちと、彼らを支えながら厳しく鍛える先生方と、その双方を信頼する保護者と、膨大な作業をいとわぬ出版社とがそろって初めて完成した、奇跡の一冊といえるでしょう。


全体で400ページ近くあり、ページデザインは必ずしも読みやすいとは言えませんが、胸を打つ内容 となっています。私自身も小学生を持つ親だったこともあり、保護者の文章には、思わず涙してしまいました。小学生の可能性を信じる先生方・保護者の方には、ぜひご一読いただきたいと思います。

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