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2007年6月 4日 (月)

オノマトペ 擬音・擬態語をたのしむ

最近、ある先生と話をしていたとき「じゅくじくん」を知っているか、という話になりました。私も昔は国語の教科書を作っていたので、それがすぐに「熟字訓」であることはわかりましたが、その先生の家では、この言葉の誤解が原因で離婚一歩手前までもめたとのこと。げに、言葉の行き違いとは恐ろしいものです。
この話を聞いたとき、思い出したのがこの一冊です。
「オノマトペ 擬音・擬態語をたのしむ」田守育啓 著(岩波書店)
学生時代、児童文学のゼミで宮沢賢治のオノマトペを研究テーマにしている友人がいました。ゼミでは、発表者に対して参加者は必ず質問をしなければならないのですが、私にはそのオノマトペという言葉の意味が分からず、大恥をかきました。ですので思い出の言葉です。

オノマトペ(onomatopoeia)という言葉は、この書名の通り擬音語・擬態語のことです。「わんわん・ぱたぱた」などですね。日本語は、他言語に 比べてオノマトペが多いそうですが、あまり研究対象とはされてこなかったとのこと。幼児語っぽいし、俗な表現だからでしょうか。しかし、この本は、そうし たオノマトペに光を当て、日本語のオノマトペの様々な用法を明らかにし、その生成には一定の規則があることを解明しています。

たとえば私は、オノマトペとは日本語の副詞不足を補う言葉、つまり副詞としての用法しかないと思っていました。しかし動詞や名詞的な使い方があるようです。

目が合うとどきどきする(動詞)
いたずらするとワンワンに噛まれますよ(名詞)
このところばたばたしていたので(動詞)
かわいいひらひらのついた服(名詞)

う~ん、確かに。奥が深いです。
それから、文学作品やマンガで多用される、あまり一般的でないオノマトペのことを、著者は「臨時のオノマトペ」と名付けて分析しています。その代表例はやはり宮沢賢治。

何かもにゃもにゃ云っていました(風の又三郎)
青くぺかぺか光ったり消えたり(銀河鉄道の夜)

二つとも、あまり他では見ないオノマトペです。ですが、作品中で見ると、これより他に表せない表現であるように感じられます。しかもこの本の著者は、こうした一見気ままに作られたようなオノマトペも、実はある制限の元に作られていると説いています。

ご覧の通り、この本はカテゴリとしては文法書ということになるのでしょうが、まったく堅苦しくなく読むことができます。オノマトペに詳しくなると、最近また人気が出ているマンガ、北斗の拳の、「ひでぶ」「あべし」「たわば」といった擬音語(擬声語?)も、ひと味違って読むことができるようになるのではないでしょうか。

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