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2007年7月16日 (月)

マンガ入門

「マンガ入門」しりあがり寿著(講談社現代新書)

毎月マンガ関係の本の紹介で恐縮です(笑)。しかし、この本は確かにマンガを話題にはしているものの、「生き方本」とも言うべき書籍です。マンガという商品や、マンガ家という生き方を選ぶために必要なことが書かれています。

よく似た書名の本として、石ノ森章太郎さんが書いた「マンガ家入門」があります。この本は、マンガの技法について詳述されていますが、本書に、このような中身を期待すると大きく裏切られることになります。

しりあがり寿さんは、私は好きなマンガ家の一人で、イラストレーターとしても注目していました。シニカルな風刺ものを手がけると思えば、ナンセンスなギャグマンガもシリアスなマンガも描き、広告のイラストや単行本の挿絵も描く、とても器用なマンガ家さん、と思っていました。ところが、この本を読んで、彼が麒麟麦酒のサラリーマンと二足のわらじを履いていたことを知りました。(現在は退職してマンガ家に専念しているそうです)
一流企業の広告宣伝部に身を置きながらマンガ家としても活躍する・・・私には想像もできない姿ですが、それを認めていた会社もすごいなと思いました。近頃アサヒビールを抜き返して首位に返り咲いたそうですが、そういう会社の余裕が、好業績をもたらしているのかなあなどとも思いました。

話がそれました。
しりあがり寿さんにとって、このサラリーマン経験は、マンガ家という仕事を考える上で、とても重要だったのでしょう。この本では、マンガ家自身やマンガを商品としてとらえ、売り出してゆく、という視点で書かれています。序章の項目立てが、この本の特徴を端的に表しているので、いくつか抜き出してみましょう。

  • 「売れない」と食えない
  • ヒットの秘密
  • 「商品」か「作品」か

作家性と商品性については、クリエイターなら誰もが悩む部分ですが、しりあがり寿さんは、広告の仕事をしていた経験を生かして、自分の作品を冷静に分析しています。さらにマンガ家という職業すら客観的に分析します。

近頃は、中学校や高校で「キャリア教育」と称して、近所の職場に出向いて、アルバイトみたいなことを体験する、というのがはやっています。そうした姿を時々見ますが、お客さん的にそうした職場へ出向くのは常々意味がないなあと思っておりました。
しりあがりさんのような体験をした人は、そうはいないでしょうけれど、仕事に誇りを持ち、一生懸命生きている人には似たようなドラマがあるのではないかと思いました。テレビのプロフェッショナルではありませんが、そうした人たちに話を聞く機会を設定した方が、よほどキャリア教育になるのではないかと思いました。

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