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2007年9月10日 (月)

情報編集力

「情報編集力 ネット時代を生き抜くチカラ」藤原和博著(筑摩書房)

この本の著者、藤原さんは、元リクルートのフェローにして現在杉並区立和田中学校の校長先生です。同校が実践する「よのなか科」の教師でもある藤原さんが名付けた、「情報編集力」というのが、いったいどんな力なのか、とても興味があり、この本を買いました。サブタイトルの「ネット時代を生き抜くチカラ」というのも気になります。

ちかごろ、新しい学習指導要領についての新聞記事が目に付きますが、学力を定義しないところでの学力論議は不毛です。本書では、現代の子どもたちに必要な学力を「情報編集力」として、6名の識者との対談を通じて、その諸相を明らかにしてゆきます。
この「情報編集力」という言葉は、最初の対談相手である、編集者の松岡正剛さんから提示された言葉です。「子どもたちに『創造性は既存のものの組み合わせでも発揮できる』ことを知らせたい」と述べ、その組み合わせの手法を情報編集力だといいます。
21 既存のものの組み合わせ、とは「2+1」の「+1」を考えること。私なりに左図にまとめてみました。「たばこ」「灰皿」と来たら普通は「ライター」だけど「昔別れた恋人」なら物語が生まれるわけです。このように考えれば、確かに物語ができそうです。「よこはまたそがれ」という単語だけで書かれた歌がありましたが、あれもこんな発想で作られたのでしょう。
この「2+1」はゲームとなり、慶應幼稚舎で使われたそうで、その様子は、当時の舎長、金子郁容さんと藤原さんの対談で明らかにされています。

他にも、認知心理学で高名な佐伯胖さん、クリエイターの高城剛さん、元通産官僚の鈴木寛さんなど、さまざまな分野の人との対談を通じて、情報編集力を明らかにしてゆきます。このおもしろさについては、藤原さん自身のあとがき部分から引用してみます。

二十一世紀をリードする四つの分野で、独自の道を切り開き、ユニークで影響力のあるプロジェクトを推進されている方々が、いずれ劣らぬ”悪ガキ”であったということは、何を意味するのだろうか。(中略)六人のうち三人までもが”父親の没落”を間近に見ている(中略)まず、私たち父親が”成功の呪縛”から解き放たれていいのかもしれない。

これは逆に言えば、「お父さんがおまえの歳には」といった、説教の常套句に意味がないことを示しています。ネット時代(これまでに類例のない時代)を生きる子どもたちは、誰かを手本にするのではなく、自分で道を見つけていく生き方を選ぼう。そのためには「情報編集力」が必要。親や先生はその獲得を手伝うように関わろう・・本書の主張を、私はそのように読み取りました。

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