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2007年10月 4日 (木)

eメールの達人になる

「eメールの達人になる」村上龍著(集英社新書)

この本を読むまで、正直私は人並み以上にe-mailを使いこなしていると思っていました。何しろ、e-mailを使い始めて、もう14年になります。達人とは言いませんが、少なくとも上級者くらいには位置付くとうぬぼれておりました。なにより仕事がIT関係ですからね。
ところが、この本でそうした自信(無根拠な自信)がもろくも崩れ去りました。

そういえば、e-mailのお作法というのは、技術論が先でした。メールのタイトルに日本語は使うな、とか、機種依存文字はNGとか、添付ファイルは○キロバイトまでとか。今ではそのいずれも技術的・環境的にカバーされてしまっているので、話題にする人さえいないお作法です。

村上さんがこの本で言及しているのは、コミュニケーションとしてのe-mailです。文章表現の専門家として、e-mailとそれまでの情報伝達手段の違いを見抜き、その理想的なあり方を提言しています。とはいえこの本はいわゆる「ハウツー本」ではありません。村上さんが実際にやりとりしたメールを引き合いに出しながら、ノウハウではなく、場や関係性に応じた表現例が示され、考え方が述べられています。

冒頭、日本語の大きな特長である「敬語」について触れています。敬語は内輪の言葉として便利なツールであったため、世界に類例を見ないほど進化したが、それは会話や肉筆によって伝わるのであって、電子データであるe-mailではマイナスに働く、と位置づけます。その上で、次のように書いています。

どのメールの書き方のガイド本にも、まず最初に「メールの文章は簡潔に」と書いてある。それはその通りなのだが、簡潔に書くのはもっともむずかしいことだ。(中略)手紙でも作文でも、エッセイでも小説でも、伝えたいことを正確に簡潔に伝えるのは至難の業だ。「そうしなさい」と言われて、すぐにできるものではない。

この本ではこの「正確さと簡潔さ」という言葉が幾度も繰り返し出てきます。それだけ重要なポイントなのですが、私は「簡潔さ」というところが、どうにも苦手です。「いつもお世話になっております」「ご検討のほどよろしくお願いいたします」という表現を、私はメールでよく使いますが、村上さんは「使わない」と、ばっさり。
それでいて、相手の気持ちは最大限に配慮する表現をいくつも具体的に例示します。たとえば、「~していただけると助かります」という表現。これだと、「それをしてもらえば自分に利益がある」ということを正直に示していると共に、相手に強制していないという点で、負担感を与えない表現だというわけです。

このほか、人に人を紹介する場合のメールや、内容チェックの返信メール、お礼のメールなどで気の利いた表現を理由と共に例示しています。

私は、実は数ヶ月前、日経パソコンという雑誌に「e-mailの達人」として登場しているのですが、この本を読んで消え入りたい気持ちになりました。概して文が長いですし、特に依頼の表現が下手です。敬語を使いすぎる傾向があります。慇懃無礼に感じた方もおられたかもしれません。

もちろん、村上さんが述べておられるe-mailの作法が完璧というわけではありませんが、重要な指摘がいくつもされています。これからは、さらに簡潔さを心がけながら、相手への伝わり方を考えてメールを書いてみたいと思いました。村上さんも上達するには練習しかないと書いていますので。

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