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2007年10月25日 (木)

いけちゃんとぼく

「いけちゃんとぼく」西原理恵子著(角川書店)

出版社に勤務していたときは、非常に多くの絵本を読んでいました。仕事柄、ということもありましたし、子どもがまだ小さかったということもあります。このブログでもいつか絵本を紹介しようかなと思ってはいましたが、絵本をあまり読まなくなった今、紹介する自信がなかったのでなかなか実現しませんでした。

そんなとき、書店で偶然出会ったのがこの本。以前にも紹介したサイバラさんの本です。

この本は、完全に絵本の装丁なのですが、実はマンガ本売り場に置かれていました。その上立ち読みできないように、ビニールのシュリンクがなされていて、中身が確認できません。扱いもマンガというわけです(涙)。しかし、サイバラファンの私は、中も見ずに購入してしまいました。価格は絵本並み(1,100円)だったのですが。

読んでみると、期待通り。非常に面白かったです。簡単に説明しますと、この本は「ぼく」という少年の成長物語。少年が成長するときに直面する、様々な、悩み・恐れ・喧嘩・恋愛、などの壁を、「ぼく」は、いけちゃんととともに、乗り越えていきます。私もこの本を読んで、心がすさんでいた中学校時代の気持ちをリアルに思い出しました。当時の私には、いけちゃんはいませんでしたが、その分「ぼく」よりは、恵まれた少年時代であったと言えます。
「ぼく」には、いやなことや苦しいことが訪れますが、傷ついた「ぼく」を、いけちゃんは、時に友だち、時に母親、時に兄、時に姉のように励まします。そして「ぼく」が大きくなったとき、いけちゃんは、自分が何者なのかを告げます。

もちろん、それが何かは、ここでは書きません。しかし、いけちゃんが本当は何者なのかは、読者によって意見が分かれるのではないでしょうか。この本を友だちや、恋人と一緒に読んで、「いけちゃん談義」に花を咲かせるのはとても楽しいと思います。もし学校で読むなら、小学校6年生や中学3年生、高校3年生といった、旅立ちを控えた少年に読んで欲しいです。そして話し合って欲しいと思います。

さらにもう一つ、この本には魅力があります。それは絵です。この本の絵は、油性ペン+水彩絵の具(たぶん)で 、わざとムラが出るように描かれています。しかもそれが、おそらく5色(6色?)で印刷されています。(普通は4色)絵をできるだけ忠実に再現するために、コストダウンに逆行して、特殊なインクを使ったのだろうと思います。作家の工夫に加え、こうした造本上の工夫が加わって、味となっています。

物語も、絵も、話し合うに足る、奥深い中身がこの本にはあると私は思います。

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