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2007年12月24日 (月)

ムダ!な研修

Mhatena 先生が学校で、子どもたちを「教え、育てる」ことを教育といいます。正確には学校教育と言うべきでしょうが、一般に教育というと学校教育を指すことが多いように思います。しかし、その教えている先生自身が勉強する場(機会)のことは、ふつう教育とは言いません。研修といいます。
企業の場合でもそうです。確かに「企業内教育」という言葉もありますが、一般には研修といいます。いったい、教育と研修のどこがちがうのでしょうか。

そうした疑問をある程度解消してくれたのがこの本です。

「ムダ!な研修」福島覚著(日本実業出版社)

もともとは社内研修をどう進めたらいいのか、ということに悩んでいたとき、この本を購入しました。研修の問題点をさまざまな視点で明らかにされているので、研修遂行のマニュアルとしては役に立たないものの、企画立案のためには大変参考になります。
まず、うまく行かない企業研修の諸相を、受講者側、講師側、研修担当者(窓口)側、経営者側から解き明かしているのですが、それぞれの間には5種類のギャップが存在するといいます。

  • 姿勢のギャップ:研修に対する取り組み方の違い
  • 年齢のギャップ:年齢の違いによる常識のとらえ方の違い
  • 職務のギャップ:現場と事務という職務の違い
  • 期待のギャップ:研修に最終的に期待することの違い
  • 適性のギャップ:研修に対する本人の適性の違い

こうしたギャップが存在することを認識するのとしないのとでは、研修結果に差があるのは当然です。実際私も、高校生相手の講演をしたとき、いまどきの高校生の感覚を調査せず、大人を対象にするのと同じ調子でプレゼンをして、ひんしゅくを買った覚えがあります。商品企画において市場調査は必須のことですが、研修においても対象の性向を知っておくことは、研修を成功させる重要なポイントだと著者は言います。

そして認識ができたら、「教えない」ことが大切といいます。講義型で一方的に知識を注入しても効果は薄い上に、反発を買うだけ。一昔前に流行したスパルタ式など言語道断。かといって漫才のように楽しいだけでもダメで、次のようなことに気をつけると書いています。

  • お手本を示す
  • 勘所だけ教え、ポイントに気づかせる
  • 簡単な課題の成果をほめ、自信を持たせる

これはまさに「やってみせ いってきかせて させてみせ ほめてやらねば 人は動かじ」という有名な言葉そのままの考え方です。(この言葉、本書でも山本五十六の言葉として紹介されていますが、もともとは上杉鷹山の言葉が原点だそうです)

そして最後に研修の評価について説明しています。もちろん教育効果というのは、すぐには顕在化しないのですが、それでも評価の必要はあるしその方法もあるということで、割合具体的にその方法が示されています。実際の研修においてそうした評価まできっちりやることは簡単ではありませんが、それでも研修が業務である以上、評価を視野に入れなければならないでしょう。

このように読んできたとき、最初の疑問、研修=教育?という疑問が解決しました。つまり研修とは業務で行われる教育活動のことなのです。子どもに業務はありませんから研修とはいいませんが、教え、育てる原理は、研修も学校教育もまったく同じと言うことがご理解いただけたのではないかと思います。
研修を少しでも改善したいとお考えの方に、一読をおすすめします。ただ、内容はいいのですがもうちょっと編集を頑張ってもらえたら、もっと読みやすかったのにな、とも思いました。

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