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2008年1月28日 (月)

広告批評

Koukoku 「広告批評表現者たち-女の巻-」(マドラ出版)

またまたブックでない話題で恐縮です。この雑誌は、その名の通り、広告の批評が掲載されている雑誌です。テレビや新聞でおなじみのコラムニスト天野祐吉さんが創刊されたことでも有名です。「コピーライター」という職業がもてはやされていた頃、非常に注目されていた雑誌です。
今回の特集「表現者たち-女の巻-」というのに惹かれて、本当に久しぶりに読んでみました。

特集に登場するのは、4名の女性表現者たち。(五十音順・敬称略)
 蒼井優(女優)
 梅佳代(写真家)
 川上未映子(作家・歌手)
 タカノ綾(アーティスト)
この「表現者たち」は、編集部のインタビューに答えて、自身の表現活動について語ります。表現するときの意識というか、考えを言葉で説明するというのは、案外難しいものだとおもうのですが、ここに登場する表現者は、そのあたりを見事に言語化しています。

まず女優の蒼井優さん。彼女のことは、出演映画を何本か見ていて知っていましたが、芸能事務所主導でデビューしたアイドル女優と思っていました。ところが、このインタビューを読んで、非常に謙虚でクレバーな女優さんだと感じました。役者の表現について語った部分で印象的な言葉をいくつか拾ってみます。

  • 言葉で説明できるような感情表現はしたくないんです。なんて言うんでしょう? 笑顔でもその笑顔になるまでの過程がいろいろあるから、どれも同じ表情にはならない気がしていて。言葉にしてしまうと、全部同じような笑顔にしてしまいそうな気がします。
  • 人っていろんな表情があるじゃないですか。ころころ変わるって言うか、なんか言葉じゃ説明できないような。小説でその表情を説明すると、何ページにもなっちゃうようなことを、映画だとパンとワンカットで伝えられる。

インタビュアーが、過剰に蒼井さんに入れ込んでいて、それが気になりましたが、全体としてよい話が読めたという印象です。

次に梅さん。昨年「男子」という写真集が話題になりました。私も書店で見かけて、買いたくなりました。とても魅力的な小学生が写し出されていたのですが、このインタビューで、その原因が分かりました。

  • 「私が今一番思ってるものはなんやろ?」って考えると、小中高の男子だった。男子は全部バカだと思って、それで撮ってたんですよ。
  • 私は(中略)別に子供の目線に下げて、なんて思ってなかったし、あっちに私のことを子供って思ってもらおうとも思ってなかった。私のことはたぶんバカにしとったけど(笑)。
  • 母性本能的に撮る「子供とかカワイイ!」みたいな写真なんてどうでもいい感じがあって

「男子」に登場する小学生は、とてもいきいきしていて、何か悪態をついているような感じに撮れているのは、こういうわけだったのか、と非常に納得できました。また「関西の小学生はノリがいい」というあたりもおもしろかったです。

次に、川上さんは、この雑誌が発売された直後に芥川賞を取りました。歌手としてデビューした彼女がなぜ作家活動を開始するのか、そのあたりが書いてあります。最後にタカノさん。主にイラストで活躍しているタカノさんは、あまり言語化が得意でないのか、はたまたインタビュアーの力不足なのか、ぐっとくる言葉はありませんでした。しかし存在感のあるイラストに圧倒されました。
それから別の記事に掲載されていた、「育育児典」のデザインを手がけたブックデザイナーと著者の対談もおもしろかったです。

創造的な表現についてご興味のある方は、この雑誌をたまに読まれてはいかがでしょうか。今回の号は特におすすめです。

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