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2008年1月10日 (木)

平家物語(上)(中)(下)

マンガ日本の古典平家物語(上)(中)(下)」横山光輝著(中公文庫)

横山光輝さんといえば、なんといっても「鉄人28号」が有名ですが、「伊賀の影丸」「魔法使いサリー」など、テレビアニメになった作品を数多く執筆した漫画家です。私が中学生の頃、当時最も人気のあった少年誌「少年チャンピオン」で、「マーズ」が連載されていました。これは単行本を買って夢中で読んだものです。
その横山さんが、日本の中世文学の代表作の一つである平家物語をマンガにしたのがこの本。書店で偶然見つけ、迷わず購入しました。

「平家物語」といえば、高校の教科書で扱っていない会社はないほど有名な作品で、入試問題にもずいぶん出されているかと思います。にもかかわらず、全巻を通じて読んだことはこれまでありませんでした。(大学時代は中世文学のゼミに所属していたのですが・・)今回この本を読んでみて、これまでの断片的な知識がつながって、かなりすっきりしました。
本の帯に「センター対策にも効果絶大 受験生必携!」などと書いてありますが、それもあながちウソではないなと思いました。全体の大まかな流れが頭に入っていれば、一部分を取り出して試験問題にされたとしても、内容はある程度理解できるからです。

通読して感じたのは、昔の人は、今以上に「義(人として行うべき正しい道)」を重んじたのだなと言うことです。この本では、平家物語には記載のない、保元の乱・平治の乱にもページを割いているのですが、これにより、清盛が強大な力を身につけていく過程が鮮明になるとともに、源氏が平氏に抱く恨みの原因がよくわかるようになっています。また、僧兵とのやりとり、合戦のエピソードにも、プライドを傷つけられた、不遜なふるまいをされた、といったことが争いの原因になっていることがよく描かれています。

とまあ、読む方は気楽に読めるわけですが、描く方はおそらく相当大変だったはずです。たとえば、作品中武器が多数登場しますが、当時の刀の形、弓矢の形、鎧の形などがどうなっていたのか、ということを調べなければ絵にできません。平家が瀬戸内海に逃げるあたりでは、船が多数登場しますが、船の形はもちろん、当時の船は、一艘当たり何人乗れたのか(つまり大きさ)、という検証も必要になります。
(下)巻の巻末に横山さんのあとがきが掲載されていますが、これを読むと作品を生み出す苦労がしのばれます。意外だったのは、最も苦労した点。登場人物の名前だそうです。確かにこの時代、親から1文字もらって名前にするので、覚えにくい上、親戚関係もぐちゃぐちゃなので、非常に大変だったと書いておられます。
登場人物がわかりにくい、というのは読者も同じなので、(中)巻の巻末にだけ源氏と平氏の系図が掲載されていますが、できれば全巻に記載して欲しかったなと思います。

1月は大河ドラマが始まったり、カルタ大会が開かれたりと、古典に触れる機会の多い月。できるだけハードルを低くして古典に親しみたい方におすすめの本です。

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