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2008年3月13日 (木)

モチベーション・リーダーシップ

「モチベーション・リーダーシップ組織を率いるための30の原則」小笹芳央著(PHPビジネス新書)

サラリーマンの管理職だったとき、「どのように管理(マネジメント)すれば、組織がうまく回るか」ということをいつも考えてきました。おそらくそう考えてる人は少なくないはずです。実際、書店に行けば、「効果的な目標設定の仕方」「成果主義評価導入の方法」など、マネジメント手法に関する本が山のように売られていますから。
ところがこの本の著者小笹さんは、「これからの企業に必要なのは、マネジメントではなく、リーダーシップだ」と説いています。

高度成長期の会社であれば、役職は次々に生まれ、報酬もうなぎ登り。会社も社員も働く理由を見つけやすい世の中でした。ところが、昨今のようにみんながそこそこ豊かになり、会社も大きな成長が望めない低成長時代になると、報酬や役職が不足しがちで、それらが働く理由につながりにくくなってきました。
学校も同様ではないでしょうか。「はい、ここ試験に出るぞ」といって、入試を背景とした知識注入型、教え込み型の授業が成立したのは、もう何十年も前のことでしょう。いまや、大学全入の時代。学生も、学ぶ意味を見出しにくくなっているのではないかと思います。

こうした時代だからこそ、小笹さんは、組織を有効に機能させるためには、構成員が行動する動機(モチベーション)のありかを明らかにし、それに基づいた組織運営が求められる、といいます。このための方法論として、本書で30の原則を提示しています。私が気になったのは、特に下記の4つです。

  1. 「アイカンパニー」という考え方で自分自身をマネジメント
  2. スイッチ法による発想や意識の切り替えにより組織は活性化
  3. 組織のルールは、リーダーのメッセージを伝える絶好のメディア
  4. 人の欲求には4タイプある。欲求に応じた報酬を用意すべき

このうち、私がもっとも心動かされたのは、「人間の行動欲求特性には、大きく分けて4タイプあり、そのタイプに応じた報酬を提示しないと、満足は得られない」というものでした。

  • ドライブ欲求:プロセスよりも成功や勝利といった結果を重視する傾向があり、高い目標に向かって主体的、自律的に働きたいという欲求がある
  • ボランティア欲求:他社との協調を望み、周囲の期待に応えたい、人から愛されたい、感謝されたいという貢献奉仕型の欲求特性
  • アナライズ欲求:感情や感覚よりも合理や論理を重視する傾向があり、物事の仕組みを究明することや、未知の領域を探索することに強い欲求をもつ
  • クリエイト欲求:合理よりも感情や感覚を重視する傾向があり、豊かな創造力を発揮したり、物事を感覚的にとらえ、感性で表現しようとしたりする

欲求が満たされれば、満足となりますが、このように欲求の型が異なるのに、全員に同じ報酬(ボーナスや役職等)を与えても満足は得られません。たとえばクリエイト欲求の社員には、ボーナスより最新のMacintoshPCを与える方が、より高い満足が得られる、というわけです。

教育の世界では、もうずいぶん前から「一人一人の個性にあった教育を」ということが言われていますが、ビジネスの現場ではまだまだ一律主義がはびこっています。それには「一人一人の何をどう見るのか」という視点が具体的に提示されていなかったことが大きいと思います。本書で示された30の原則は、組織運営において、新たな視点を示してくれました。

管理職やリーダーだけでなく、より前向きに働きたい人に、ぜひ一読をお勧めします。

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