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2008年7月 7日 (月)

ともだちや

Tomodachiya1_2 「ともだちや」内田麟太郎作・降矢なな絵(偕成社)

先月小学校5年生の授業を見せていただく機会に恵まれました。授業も素晴らしかったのですが、その教室に掲示されていた読書案内が目にとまりました。A君が書いた「ともだちや」という絵本の紹介カード(左の写真)です。物語のあらすじとともに、書籍名の下に「本当のともだち・・・」と書いてあります。これは絵本には書いてありませんから、A君が書き加えたものでしょう。なかなか印象的な表現とレイアウトです。

これを読んで私は、この本がどうしても読みたくなり、書店に注文しました。

A君が書いているように、この物語の主人公のキツネは「ともだちや」という商売を始めます。そして頭から幟を立てて、次のように言うのです。

「えー、ともだちやです。
ともだちは いりませんか。
さびしい ひとは いませんか。
ともだち いちじかん ひゃくえん。

ともだち にじかん にひゃくえん」

ところがこの商売、なかなかうまくいきません。上記の口上を大声張り上げてしていると、ウズラのおかあさんに叱られてしまうし、クマからは、まずい、まずいいちごを食べさせられたりしてしまいます。(キツネはいちごを食べないのです)そしてオオカミに呼ばれたとき、トランプで遊んで楽しかったのですが、代金をもらう段になると、オオカミは急に怒り出し…

物語の結末は、ぜひ読んでいただくとして、本書を読むと様々な疑問が湧いてきます。

たとえばこのキツネは、どうしてまた「ともだちや」などという商売を始めたのでしょうか。もちろんこの絵本には書いてありません。もし子どもたちにこの本を読んで上げたとしたら、「ともだちがいなくて寂しかったから」「お金が欲しかったから」「楽に稼げる商売がしたかったから」など、いろいろと意見が出そうです。
またオオカミは、なぜ怒ったのでしょうか。「キミがもしオオカミだったら、こういうとき怒る?」と子どもたちにぜひ聞いてみたいところです。

絵本の愉しみ方には、いろいろあると思いますが、やはり醍醐味はみんなと一緒に読むところにあると思います。私は、自由に意見を交わしながら読める絵本が好きです。親子でも兄弟でも友だちでも。そういう意味で、本書は本当に良くできた絵本だと思います。内田さんの文章と、降矢さんのイラストとが、合わせ技で一つの物語を作っているので、いろいろな読み方(見方)が可能です。特に登場人物(動物)の表情がなんともいえず特徴的で引き込まれます。

このキツネとオオカミのお話は、本書をスタートに「おれたちともだち」としてシリーズ展開されているようで、本書を含め、すでに8冊も刊行されています。3~4歳のお子さんでも十分楽しめる本ですが、幼稚園から小学校低学年くらいのお子さんと話し合いながら読んでみると、また違った味わいがあるのではないでしょうか。

さて、A君の読書案内と私のブログ、どちらが「読んでみたい」と思える内容だったでしょうかwink

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