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2008年7月10日 (木)

やめられない心理学

「やめられない心理学」島井哲志著(集英社新書)

おそらく私は、多くの人よりも意志が弱いです。小学校の夏休みの計画倒れに始まって、大学時代の筋トレも中途半端。実行できないだけならまだしも、夜更かしや夜中のどか食いなど悪い習慣が、まったく止められません。

それでも何ら反省することなく、今に至るまでずるずると馬齢を重ねて参りましたcrying。ですから本書を書店で見つけたときは、まさに福音、ということですぐに購入しました。

本書の冒頭に次のようなチェックリストがあります。当てはまるものにチェックを入れてみてください。

  1. 週に一回から二回以上、定期的に運動している
  2. 毎朝、朝食を取っている
  3. 間食はほとんどしない
  4. たばこは吸わない
  5. 一日平均7~8時間の睡眠をとっている
  6. 自分の体重(kg)を身長(m)の二乗で割ったBMI値が18.5~25未満
  7. 週二日の休肝日を守っている

やってみて、みなさんはどんな感想をお持ちでしょうか。「ありきたりのリストだね」「こういうのには理想が書いてあるもんだよ」なんて思いませんでしたか。私もそう思いました。しかしチェックリスト直後の例示を見て、考えが変わりました。

しかし彼には、喫煙が病気を引き起こすという重要な話題よりも気に入っているエピソードがある。それは、親戚のおじさんは90歳まで長生きしたが、タバコだけはずっと吸い続けていたという話だ。そして、一度もタバコを吸ったことがない人が、若くして肺がんになった話も、好んで話題にする。

つまり、人はリスク認知に関して、より楽観的な情報を元に判断しがちだというのです。「自分だけは大丈夫」「これまでも平気だった」という判断は、誰しもしたことがあるのではないでしょうか。心理学的にこれを「ポジティブ幻想」と言うのだそうです。
また、逆にメディアによる健康情報を無条件に受け入れ、専門家から見ると、奇妙で過敏な反応をしてしまう場合もあります。納豆の大量購入事件や、サプリメントの過剰摂取などがそれにあたるのでしょう。ストレスについても、本書では「ストレスはたまるものでも、発散できるものでもない」と説明されています。

著者である島井さんは、「健康心理学」という分野で活躍されている心理学者であり医学博士です。「病気という状態は、相対的な認識でしかない」とか「痛みは、身体的原因が特定されないものの方が多い」「慢性疾患は診断より本人の認識が大切」といった、心理と医学の融合とも言うべき説明は、非常に興味深く読むことができました。

ただ、本書は著者である島井さんが超多忙なせいか、内容的まとまりに欠けるところや説明不足のところがあります。これは、編集上の問題ですね。ですから、本書をお読みになるにあたっては、自分自身の興味に近いところを拾い読みするのがよいでしょう。
通勤等で読むのに適した一冊です。

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