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2008年7月24日 (木)

名作コピーに学ぶ読ませる文章の書き方

「名作コピーに学ぶ読ませる文章の書き方」鈴木康之著(日経ビジネス文庫)

そもそもこのブックブログを始めた理由は、説明文が上手になりたいと思ったからです。ビジネス文書の大半は、この説明文なのですが、これがなかなか簡単ではありません。報告の中身が多いときやちょっと込み入った企画を伝えなければならないときは、結構工夫が必要です。

基本的には練習しかないと思いますが、世の中には同じ悩みを持つ人が多いと見え、この分野の本は非常に多く出版されています。今回は、コピーライターの方が書いた本を読んでみました。

広告に掲載された文や文章のことを、コピーといいます。そんなことは説明されなくても分かっている、という方も多いでしょう。けれど、広告の中で、ひときわ目立つ処理がされた1文か2文、いわゆるキャッチコピーだけがコピーだと思っている人はいませんか。キャッチコピーを受けて、小さい文字で展開される説明文、あれも立派なコピーです。ボディコピーといいます。

本書は、優れた広告のキャッチコピーとボディコピーを取り上げ、どこが優れているか、何が伝わっているかを解説しています。そこから文章生成のヒントを導き出す、というのが基本的な構成です。著者の鈴木さんは、現役のコピーライターであり、コピーライター養成学校の先生をしているだけあって、コピーの読み解きが極めて上手です。しかもそれを一般化して、文章の書き方のヒントとして、私たちに見せてくれます。これはちょうど、一流のシェフが、料理学校の先生をしながら、生徒とともに料理を食べ、料理の材料と作り方について解説してくれているようなものでしょう。ある意味とても贅沢な本です。

本書の構成は、「はじめに」と6つの「部」でできていますが、コピーライターの鈴木さんらしく、それぞれに、その部を象徴する見出しが付いています。これもコピーと呼んで差し支えないでしょう。このコピーが非常に印象的です。

  • はじめに 文章は書くものではない 読んでもらうものである
  • 第一部 読む人のために、自分のために ソントクで書く
  • 第二部 気持ちで書けば ちゃんと伝わる
  • 第三部 書き上手になろうと思うな 聞き上手になれ
  • 第四部 人と同じことを思い 人と違うことを考えよ
  • 第五部 モノ、コト、ココロ 万事、説明の世の中
  • 第六部 いい文章は 幕の内弁当のようである

実際にはこのコピー、必ず1か所改行が入ります。その部分にはスペースを入れてみました。どうです、どれも印象的な言葉ではありませんか。私は、「文章は読んでもらうものである」というのと「聞き上手になれ」というところに感動しました。私たちは、どうしても生成された文書という形にとらわれてしまいますが、実際にはその背景となる書き手の意識や取材過程が重要なのです。そこをもっと意識しないといけないなと思いました。

本書を手にしたときは、正直「販促業務の勉強になればいいな」くらいの軽い気持ちでしたが、どうして立派な文章読本でした。広告コピーは、毎日膨大に生み出されています。それらを文章のお手本として、もしくは批判の対象としてとらえてみるのも面白いと思います。

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