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2008年8月11日 (月)

谷川俊太郎 質問箱

「谷川俊太郎 質問箱」谷川俊太郎著(HOBONICHI BOOKS)

新聞や雑誌に「相談コーナー」ってありますよね。それらの中には、数十年続いているものも多いのではないでしょうか。たぶん、相談するのが好きな人、相談されるのが好きな人、相談を読むのが好きな人、それぞれたくさんいるからではないでしょうね。ちなみに私は、相談を読むのが好きな人ですhappy01

そんな私が書店でちょっと立ち読みして、たちまち気に入ってしまったのがこの本。本書は一般の人や有名人の質問に、谷川さんが回答していく、という構成なのですが、相談コーナーと同質の面白さがあります。

本書の質問は、糸井重里さんが運営しているほぼ日刊イトイ新聞に寄せられたものだそうです。ふつうこうした質問を受ける人は、学者や弁護士、精神科医など、いわゆる学識経験者が多いものですが、本書の回答者は谷川俊太郎さん。谷川さんといえば、確かに超有名な詩人ではありますが、なぜ質問を受けることに??
それは本書の巻末に配置された、谷川さんと、糸井重里さんの対談によるあとがき「詩人から届いた答え」を読めばわかります。この冒頭のやりとりが、本書の性格を端的に表していますので引用します。

糸井 ほぼ日刊イトイ新聞の連載を含めて、六十以上の質問をこれまで谷川さんにお送りしてきました。本当にいろんな種類の質問があったと思いますし、「よくぞこの質問に答えていただいたなあ」というのもありました。
谷川 訊いてよくない質問はありえないってのがぼくの立場です。そして、どんな質問が来ても、答えたいものは答えるし、答えたくないものは答えないってのもぼくの立場。だけど、自分が答えにくいものほど答えたくなります。

この「あとがき」は、興味深く読み応えのある対談です。コピーライターの糸井さんと詩人の谷川さんが、「詩とは何か」「意味を伝えるとはどういうことか」ということについて語りあっています。とりわけ私は、谷川さんが、糸井さんの仕事全体を「詩的な営み」と評していることが面白いと思いました。

この対談だけでも面白いのに、厳選された64個の質問と答えがあるのですから、かなりお得な本です。質問の中身は本当に様々。たとえばこんな具合。

質問九 自業自得で苦しいとき、誰にあたることもできず、言い訳もできず、というとき、どうやってその苦しさに立ち向かいますか?(後略)
谷川さんの答 苦しいのも生きている味わいのひとつだから、苦しみのグルメになれるといいなあ。苦みや渋みや刺すような辛さに、かすかな甘みもまじっているその複雑な味を知ると、喜びの味も深まるからね。(後略)

どうです? この詩人らしい返事。悩んでいても、こういう美しい言葉で返事してもらえると、なんだか元気が出ますよね。
それから、ここには有名人も質問を寄せています。重松清さん、坂本美雨さん、ガチャピン、ムックなどなど。しかし、有名人の人々も「お仕事で質問しました」的なものではなく、本当に谷川さんに訊いてみたい、と思っているようなことを質問しています。重松さんは生き方に関わること、坂本さんは恋愛に関わること、といった感じで。

本書の帯の裏側に、糸井さんのことば(一文)が書かれています。

「本当のこと」は、詩人に訊くといいんだよ。

本書を読むと、まさにそういう気持ちにさせられます。夏休み、高原で寝そべりながら、ゆっくりと読書するときにお勧めの一冊です。

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