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2008年10月 2日 (木)

調べる技術・書く技術

「調べる技術・書く技術」野村進著(講談社現代新書)

文章を書くことに関する本は、これまで本当にたくさん読んできました。実際、書店には、ビジネス書のコーナーを中心に「書くための指南書」が大量に積まれています。それだけ困っている人が多いからなのでしょう。

実際、私も困っているのでちょっとでも参考になりそうな本があれば、すぐ購入しています。本書もそうした発想で購入したのですが、予想した内容とは大きく違ったものの、大変参考になる、よい本でした。

当初本書を手にしたとき、本書は、立花隆さんの知のソフトウエアと同様、現役ノンフィクションライターによる情報整理術だと思いました。実際本書の帯には、これがプロの「知的生産術」だ!なんて書いてあります。けれども実際は、ノンフィクションライター入門、とでもいうべき、内容でした。

  • 書くテーマの決め方
  • 資料の集め方
  • 取材の進め方とこつ
  • 内容に応じた文章の書き進め方

これらのノウハウが非常に懇切丁寧に語られています。とはいえ「ライターの仕事に興味ないよ」などとおっしゃらないでくださいcoldsweats01。本書で語られているノウハウは、単にものを書くことだけでなく、仕事に対する普遍的な姿勢なのです。

たとえば、「テーマの決め方」では、次の5つのポイントを上げています。

  1. 時代を貫く普遍性を持っているか
  2. 未来への方向性を指し示せるか
  3. 人間の欲望が色濃く表れているか
  4. テレビなどの映像メディアでは表現できないか、もしくは表現不可能に近いか
  5. どのテーマを聞いた第三者が身を乗り出してきたか

いかがでしょうか。商品企画やサービス企画においても普遍性があるかと思います。もちろんポイントだけでなく、その詳細な説明においても十分参考になりました。特に、テーマ設定には現場主義が最も近道、という主張は、私も強く同意します。

私が本書で最も感銘を受けたのが、「人に会う」「話を聞く」という二つの章です。アポイントの取り方、インタビューの仕方、メモの取り方、相手の観察方法などが非常に具体的に書いてあります。野村さんの経験に基づく話だけでなく、取材ノートの写真や依頼文書の文例など実物が示されているのです。また、先達が書き残しているノウハウも紹介してくれています。
また、取材に望む心構えとしては、事前に資料を読み込んでおくとか時間は厳守だとか、耳の痛い指摘も満載でした。

さらに書くときのノウハウも「人物を書く」「事件を書く」「体験を書く」と、3つの章を割いて書く中身によって書くノウハウと心構えが違うということを解説しています。しかも、野村さんが過去に書いた実際の文章をもとにしているので、説明が非常に具体的です。どれも非常に参考になったのですが、特に

  • 文章を書く際、「聞く」「話す」という活動を採り入れることによって、文章がより肉体化される
  • 表現上お手本となる本やフレーズ(ペン・シャープナー)を持つよう(集めるよう)心がける

という指摘は、非常に新鮮で納得できました。明日からでも実践できます。

本書は、2008年4月が初版なのに5月時点ですでに4刷りです。つまり猛烈に売れているわけですが、今回読んでみて、それも納得できました。ライターやマスコミを目指す人はもちろん、営業や商品企画など、人に会うことが仕事の人にとって重要な指摘が満載です。論文を書こうとする大学生もきっと参考になるでしょう。座右において、何度も読み返したい一冊です。

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