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2008年10月 6日 (月)

図解雑学 社会心理学

「図解雑学 社会心理学」井上隆二・山下富美代著(ナツメ社)

私は時々、本を読む目的ではなく見る目的で購入することがあります。書籍の内容(中身)よりも、ページ構成や説明の仕方、ページデザイン等、本の作りを参考にしたくて購入するのです。本の作りを分析的に読むと、本作りだけでなく、企画や文章力の向上に寄与することもあります。

本書はまさに、そうした目的で購入しました。つまり、社会心理学に興味があったわけではなく、次の商品に同梱していくマニュアルの説明方法の参考にしようと考えたのです。しかし、見ていくうちに、内容も結構面白いことに気づきました。

実際書店に行くと、こうした図解による書籍は非常にたくさんあります。図解する理由はただ一つ、売れるからです。難しい中身も、図解で簡単に読めれば、読んでみようという人が増える、という構図。ただ、実際には図解化するのは難しく、図解化できたとしても、分かりやすいとは限らないので、そう簡単にではないのですけどね。

本書が優れているのは、個々の説明の図解もさることながら、章立てが分かりやすく設定されていて、さらにそれがよくわかるデザインが施されていることです。

  • 序章  社会心理学とはどんな学問か
  • 第一章 個人レベル
  • 第二章 対人レベル
  • 第三章 集団レベル
  • 第四章 社会レベル

ご覧のように本書は、まず概論を述べてから、個人→社会へと、解説する範囲(社会)を徐々に大きくしていく、という構成です。その上で、1つの話題を1見開きにまとめています。大きな話題や複雑な話題を説明するときには、何回かに分けていますが、それでも1見開きで完結させています。すべて見開きで完結していると、読みやすく感じますし、途中で読むのを中止し、後日再開する場合などに便利です。けれども思考がぶつ切りになり、体系的に理解しにくいという欠点があります。
Setsumei そこで本書では、左図のようにページの右端に「現在第何章か」を大きく示しています。国語辞典のような感じですね。右端にはみ出すようなデザインのおかげで、何章を読むか選びやすいという効果もあります。

立ち読みして、こうした構成が気に入り、当初は、当社書籍の参考にしようと思ったのです。けれども、読み進めて社会心理学についてある程度分かるようになると、少し考えが変わりました。この分野の基礎知識は、情報モラル教材など、メディア活用にかかわる教育ソフトを開発する際に、非常に重要だと分かったからです。特に対人レベルにおける「攻撃行動」、社会レベルにおける「群衆と集団の違い」などです。いずれも、ネット上のコミュニケーションにおいても当てはまると思いました。こうしたことは、専門家から見れば「当たり前だよ」と言われることでしょう。しかし、これは心理学と教育ソフトの企画、という狭い話ではありません。

私たちは、ある仕事を遂行したいと考えたとき、それに直接関係する情報しか得ようとしないことがよくあります。それ以外の情報は、「関係ない」と思ってしまうので、たとえ目や耳にしたとしても、頭に入りません。このことが、企画を、狭くつまらないものにしているのではないでしょうか。
教育ソフトを開発するときに、教育関連の書籍しか読まず、教育関係者にしか面会しない、といった姿勢ではいけません。日ごろから広く情報収集をしておく姿勢が大切なのです。「犬も歩けば棒に当たる」という諺言は、これからは積極的・肯定的な意味にとらえたいと思いました。

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