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2008年12月18日 (木)

PTA再活用論

「PTA再活用論 悩ましき現実を超えて」川端裕人著(中公新書ラクレ)

「PTA」と聞くと、みなさんはどんなイメージを持たれるでしょうか。学齢期のお子さんがいるかどうかで異なるとは思いますが、おそらく、良いイメージをお持ちの方は非常に少ないと思われます。実際私もそうでした。

著者の川端さんも、お子さんの小学校入学を機会にPTAの仕事を経験し、以前紹介した「バカ親、バカ教師にもほどがある」の中でその問題点と改善の方向を語っています。本書はいわばその続編。PTAのあるべき姿を具体的に提案した本です。

まず川端さんが、ご自身のブログで集めたPTAに対するイメージを読んで驚きました。PTA未経験者ばかりか、経験者からも、ネガティブなイメージばかり寄せられたのだそうです。

  • 自発精神の吸収体
  • 修行の場。決して強くお勧めはしないが、やってみれば楽しいこともある
  • 伝統と権威的な上っ面でなんとか保っている団体
  • 学校の下請け/ボランティアの義務化/理念が忘れ去られ形骸化したもの

私が昨年PTAを経験しての感想は、2番目の意見に近いでしょうか。理不尽な思いもしましたが、全体としてはやってよかったかなと思っています。それは川端さんも同じ気持ちのようで、第1章「PTAこの素晴らしきもの」において、PTAとはそもそもどんな組織で、どんな目的の組織なのかを明らかにしています。

つまり、保護者と教師が、ともに学習し、結果として、よりよい保護者、教師になるのが第一。すると、家庭教育や学校教育が充実し、さらには地域社会や子どもをめぐる環境もよりよいものに変えられる……。書いてみるとなんとも気宇壮大なことを述べているのだ。

恥ずかしながら、これを読むまで、PTAとは、保護者と先生が一緒になって学ぶ場で、その成果を社会生活に生かすための団体だったとは全く知りませんでした。てっきり「学校に協力(奉仕)するボランティア団体」だと思っていただけに衝撃の事実です。しかも衝撃はそれだけにとどまりません。PTAとは、学級の保護者と先生が基本単位であり、「PTA役員」とは、校内のPTAの調整役、という位置づけで、極めてフラットな関係だというのです。全国組織さえ、その基本姿勢は変わらないとのこと。「ほんとかなあ」と思うと同時に、ではどうして、学校にこき使われたり、会長に威張られたりしてしまうのだろうと思いました。
さらに、基本的に任意参加の団体であるということにも驚きました。てっきり強制参加だと思っていましたし、いつの間にか会費を納めていた、というのが現実です。

川端さんは、どうして多くの人がこうした誤解を持つようになったのかを検証し、何が問題なのかを明らかにしています。「校長とPTAの関係によっては、『学校の嫁』状態にされてしまうこと」「公平感のために導入された役員の輪番制が『やらされ感』を増幅していること」という指摘はかなり的確だと思いました。
川端さんの主張が素晴らしいと思うのは、それが取材や実体験に基づくものだということです。自らPTA役員を務め、ブログで意見を募り、日本PTA全国研究大会に参加した上での主張なので、説得力があります。

そうした取材と分析に基づいて、川端さんは、あるべきPTA論を「カワバタ私案」として提案します。その具体的提言内容はぜひ本書でお読みいただきたいですが、注目したいことが一つ。それは、先にご紹介した「バカ親、バカ教師にもほどがある」の共同著者である、藤原さんが、和田中学校校長時代に提案したPTA再編構想に必ずしも賛成していないということです。とはいえ、反対しているわけでもないのですが、そうした誰に対してもフラットな取材姿勢が、本書を読んで、大変好もしく思いました。

PTAについての基礎知識を得るとともに、認識を改めることのできる本です。

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