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2009年1月19日 (月)

Mr.マリックはじめての超魔術

日用品だけでできる 文庫版Mr.マリックはじめての超魔術」Mr.マリック監修(主婦の友社)

いわゆるタレント本やハウツー本と呼ばれるジャンルがあります。それだけ売れているということなのでしょうけれど、私はめったに買いません。読む前から中身が予想できてしまう本は、わくわくしないからです。

ではなぜ本書を購入したかといいますと、ある作家の書評に惹かれたからです。そして、その評価は確かなものでした。

まず、元編集者として私がうなったのは、本の作りです。本書では、全部で50のマジックが紹介されているのですが、これを説明するため、非常に手間暇掛けた編集がなされています。

まずその一つがモデルさんの活用です。読者がマジックのイメージを持ちやすいように、2人の女性モデルがマジックをやってみせる写真が掲載されています。

  • モデルは、大手プロダクション所属のタレント。しかも、単に写真写りがよいだけではなく、Mr.マリックさんのショーで専属アシスタントを務めている方々。ですからマジックの動作が自然です。
  • 2人はマジックの内容に応じて、何度も衣装替えをしています。こうした編集方法は、撮影時間が長くなり、コストアップになりますが、おかげで読者は、毎度新鮮な気持ちで読み進めることができます。

Page もう一つが、原稿作成の工夫。文章を書いているのは、全8巻のマジック百科事典を翻訳し た加藤英夫さんという方で、イラストを描いているのは、プロのマジシャンでもあるカズ・カタヤマさんです。何かを説明する文章やイラストを作成する場合、それを担当する人がその方法論を正確に理解していなければなりません。その点、本書は、Mr.マリックさんが原案を出し、加藤さんが説明文を書き、カタヤマさんがイラストを描くわけですから、非常に的確な原稿が作成できるわけです。かなり高度なテクニックを必要とするマジック(超魔術)も紹介できているのは、そういうわけなのでしょう。

とはいえ、一冊の本にこれだけの人が関わるというのは、実際には難しいことです。まずそれぞれの方に本業があるので、スケジュール調整が大変です。さらにギャラも、一人一人は安くても、合計すればかなり高額になります。本書はさらに、144ページフルカラーですから、造本原価も相当な金額でしょう。それでいて定価は700円(税別)。余計なお世話ながら、これで利益が出るのだろうかと心配になります。

もっぱら編集上の工夫のみを紹介して参りましたが、もちろん本書の醍醐味は、なんといっても紹介されている超魔術の内容です。マリックさんが、テレビでやっていたようなネタが惜しげもなく紹介されています。たとえば、観客がランダムに選んだはずのトランプカードが、のり付けされた封書の中に、まるで予言のようにあらかじめ記載されていた、といったトリックの種明かしがあるのですから驚きです。

私は手先が器用ではないので、あまり挑戦してみようとは思いませんが、ノウハウ本の編集方法として、非常に参考になった本でした。

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