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2009年2月 5日 (木)

算数で活用型学力が育つヒミツ

「算数で活用型学力が育つヒミツ」基幹学力研究会編/藤本邦明著(明治図書)

この4月から、小学校では新しい学習指導要領での授業が始まります。これを受けて、教育系出版社からは、数多くの関連書籍が出版されているようです。

本書もその中の一冊。仕事でお世話になった藤本さんがお書きになったとのことで、読んでみることにしました。

本書では、まずタイトルに赤字で書いてある「活用型学力」という言葉が気になります。いったいどんな学力のことでしょうか。冒頭の解説部分を引用してみましょう。

たとえば、ものの長さや重さを学習しても、実際の生活でものの長さや重さを見積もって考えることができなければ「ただの」知識でしかない。またわり算の筆算をノートの上でいくら速く正確にできたとしても、料理などの場面で、1人あたりのおよその分量を求めることができなければ、「ただの」技能でしかない。活用型学力とは、(中略)次の学習や他の領域、日常生活に広げられる学力である。

「つまり実生活で使える学力ってことね」と考えてしまいそうですが、藤本さんは、それは違Niji うといいます。左のような「虹のたし算」の図とともに具体的な授業の様子を示しながら、再度説明します。

この授業でみえる「学力」は、次のようなものである。9の段の表から数字を関連づけてみる力、関数的な見方、また「一の位と十の位をたすと、全部9」といった構成的な見方。その後の対応した数の和(虹のたし算)が一定であることを確かめる計算技能。さらに1つの例をもとに、「他の場合も言えるだろうか」といった、一般化しようとする考え方。自分の考えを友達や先生に説明しようとする態度。そして言葉や式による表現力。

藤本さんは、上記のような力、つまり「事象に働きかけ、数理を追究し表現する力」「活動力」と定義し、活動力と確かな知識と技能が身に付いたとき、活用型学力になる、と解説しています。つまり
 活動力+知識・技能=活用型学力
というわけです。こうやって実際の授業での活動を紹介しながら学力を分解してもらうと、算数の門外漢である私にもよく分かります。こうした論理的な構成は、算数の本ならではでしょう。本書では、以後活動力を身につけるための教材や実践の視点などが、詳しく説明されています。たとえば第二章は「活動力を育てる──授業の導入は「カキクケコ」──」。授業の「導入」でのポイントを次のように紹介しています。

  • 「カ」…かくす
  • 「キ」…きそわせる
  • 「ク」…くらべさせる
  • 「ケ」…けいさんさせる
  • 「コ」…こまらせる

これだけでも「なるほどなあ」と思いますが、「カキクケコ」それぞれに具体的な教材とともに解説されています。その上、最終板書の写真や、子どもたちの活動の様子が分かる写真も掲載されているので、授業のイメージが湧きやすのではないでしょうか。
続く第三章では対戦型ゲームが、第四章では探求型ゲームが多数紹介されています。対戦型は団体戦と個人戦の混合タイプ、探求型は個人戦という具合です。クラスの様子や学習のねらいによって使い分けるのでしょう。

この事例を参考に、自分でもゲームが作れそうな気持ちになりました。それどころか、本書を読めば自分でも算数の授業ができるのではないかとさえ思えます。たぶん気のせいだとは思うのですがconfident、本書は、それほど具体的でわかりやすい本です。ここまで書いてあれば、若い初任の先生でも十分理解&応用できるのではないでしょうか。116ページと薄めの本ですが、中身は非常に濃いです。来年度の算数授業をお考えの先生はもちろん、保護者の方にもお勧めしたいと思います。

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