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2009年4月 6日 (月)

新ナニワ金融道

「新ナニワ金融道 1~3」青木雄二プロダクション(グリーンアロー出版社)

あまり漫画がお好きでない方でも、「ナニワ金融道」という題名はご存じの方が多いのではないでしょうか。1990年に、コミックモーニングに突如として現れた、金融漫画です。テレビドラマにも映画にもなりました。

本書は、その続編とも言うべき新シリーズ。もともとの作者である青木さんは、すでに亡くなりましたが、そのときのスタッフが手がけたようです。金融に関する今日的な課題を取り上げています。

「ナニワ金融道」が連載されたのは、バブル崩壊直後。消費者金融の苛烈な取り立てなどが社会問題化していた当時を反映し、悪どい業者にお人好しはどん底を味わう、というストーリーが多かったように思います。それまで無かったジャンルの漫画というだけでなく、人間の描き方が特徴的でした。この漫画で私も、契約とか抵当とか破産といったことにずいぶん詳しくなった記憶があります。

現在は当時と同じ問題はありませんが、消費者金融が次々と大手金融機関の傘下に入る中で、様々なモラルハザードが起きていると言われています。その中で、正直者が馬鹿を見るという構図も当時と同じ。本書が企画されたのは、当時と似たような問題意識からだったのではないでしょうか。

主人公は、当時と同じ「灰原達之」。「ナニワ」というだけあって、全編関西弁で展開するこの物語において、唯一人標準語を話す登場人物です。前作において刑務所に収監されるところで終わったため、本書では、出所するところから物語が始まります。

出所後灰原は、元の勤務先である帝国金融に戻る。服役したのは会社のためだったからだ。しかし社長から服役中の給料はもらったものの、同時にクビを言い渡される。驚く灰原に社長は、やはり帝国金融の社員だった桑田の設立した債権回収会社「ナニワ金融」へ行けと言う。
この会社で回収業務を行ううち、灰原には、昔だました会社の社長に復習されたり、妻に失踪されたりといった不幸が降りかかる。やがて大手銀行や政界を巻き込んだ、とんでもない事件に巻き込まれるが…

このストーリーは、1巻から3巻までのひとつながりで展開します。けれどもそれぞれの巻の構成は、すべて同じではありません。1巻だけは他と違い、ストーリーの合間に、登場人物の一人である桑田による「金融コラム」が掲載されています。このコラムが結構面白いのです。たとえば債権回収を装った詐欺について説明したコラムは、その手口を詳細に紹介した後、次のように続きます。

何事も疑ってかかる姿勢を持つことが、詐欺から自分の身を守る第一歩や。それと、安易に金を借りたり、カードを作らんこと。借金をするいうことは、キミの個人情報を借入先に提供するいうことやで。例え借入先が名の知れた金融会社であっても、そこで働いとるのは生身の人間。自分の借金返済や遊ぶ金ほしさに顧客情報を売る社員がおらんとも限らんからな。今の世の中、それくらいの自衛意識を持っとかなアカンでホンマに。成功する詐欺は、個人情報を巧みに利用したケースがほとんどなんやから。

こうした金融に関わる知識のことを、最近は「金融リテラシー」というのだそうです。以前ご紹介した信用偏差値という本にも書かれていました。現代は、金融リテラシーが必要な世の中だそうですから、こうした漫画で知識を仕入れるのもよいのではないでしょうか。このシリーズ、現在は週刊SPAにて連載されているそうです。ご興味のある方はぜひどうぞ。

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