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2009年4月30日 (木)

医師がすすめるウオーキング

「医師がすすめるウオーキング」泉嗣彦著(集英社新書)

以前「人はどうして痩せないのだろう」という本を紹介した時にも書きましたが、私は、3年間続けてきたウオーキングの結果を記録していたファイルを誤って削除してしまったショックから、立ち直れずにいました。

3年間の努力がパーになったショックで、以来、積極的に歩く気持ちになれず、体重どころか体調も元の最悪な状態に戻ってしまいました。「これじゃいかん」と思って購入したのが本書です。

「3年も習慣化していたのだから、本など読まなくても、すぐ再開できるでしょうに」と思われる方もいるでしょう。確かにそうです。しかし、1万歩というのは、都市部における普通の日常生活では達成できません。心が弱い私は、「これじゃ、いかんよなぁ」と思いながらも、なかなかきっかけがつかめずにいました。

そんな中で、本書をきっかけにしようと思ったのは、その発行部数です。私が購入した本は、2008年10月の発行で、なんと第20刷! 2005年4月が初版ですから、3年半で最低でも数万部売れたということになります。「きっと良い本だろう」という想像は、果たして正解でした。

著者の泉さんは、消化器科のお医者さん。人間ドックを受診する人の中に、病気とは言えないが健康ではない人を数多く目にする中で「病気以前の人たちを何とかしたい」という思いからウオーキングを勧めだしたのだそうです。とはいえ、人間ドックはもちろん、泉さんの病院を訪れる人ですら、なかなか歩くことが習慣化しません。そりゃそうです。すでに習慣化していた私ですら再開が難しいのですから、「歩きなさい」と言われて素直に始められるものではありません。多くの人間は、本来怠け者なんです。

そうした徒労感をいやというほど味わっているからでしょう、本書は、私のような怠け者でもその気にさせるような工夫が盛り込まれていました。まずは目次をご覧下さい。

  • 第1章 私がすすめる新しいウオーキング
  • 第2章 生活習慣病と人間ドック
  • 第3章 歩くとなぜ病気が治るのか
  • 第4章 今日から始める<ライフスタイル・ウオーキング>
  • 第5章 身体も快適に歩くために
  • 第6章 <ライフスタイル・ウオーキング>で変わる身体
  • 第7章 <ライフスタイル・ウオーキング>で変わる生活

まず、第1章では、泉さんが本書を書くに至った経緯と、ウオーキングの効用が書かれています。ポイントは、たった一日1000歩多く歩くだけで効果がある、ということです。これだけで少しやる気が出ますよね。しかも、お医者さんらしくその効果が数値で示されています。
ここで少しやる気が出たところで、健康診断データの項目と数値の意味が解説されているのが第2章。とはいえ、単純な解説ではありません。子細に読むと「歩かないとまずいよ」という脅しが入っています。
ちょっと怖くなったところで、いよいよ本題。第3章ではウオーキングを実践した人の経過が、第2章で学んだ数値とともに具体的に示されています。単に数値が改善したという事例ばかりではありません。歩くことで体重が増えた事例も紹介されています。大事なのは「健康になるために、これまでよりちょっと多く歩くこと」だそうです。泉さんはこれを、<ライフスタイル・ウオーキング>と名付けました。新しい概念を獲得するのに、名付けはとても大事です。とてもうまいやり方だと思いました。
こうした「その気にさせ」→「突き落とし」→「また引き上げる」というやり方は、泉さんが病院の現場で身につけたやり方なのかも知れませんが、本書でも有効に機能しています。実際私は、本書を読んでからエスカレーターを使っていませんし、毎日1万歩も復活しました。

そして第7章では、健康のために歩くということを一歩進めて長生きするために歩く、と書いています。「老いる準備」という本を読んだこともあり、この部分、とても納得できました。ダイエット本では生活を変えられなかったのに、本書でウオーキングが復活できたのは、主にこの部分に共感できたからかもしれません。

身体と心は、同じペースで老いなくてはいけない、というのが私の考え方です。(中略)身体と心が、同じペースで年齢相応に老いてこそ、人はその最期の日まで自立した日常生活を送り、生き甲斐の感じられる生活を送ることができるのです。高齢化がすさまじいスピードで進んでいる今日の日本で、<ライフスタイル・ウオーキング>の目的は、生活習慣病の予防・改善だけではなくなってきました。幸福な老いこそが、本当の目的と言えるのかもしれない。私は今、そんなふうにも考えています。

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