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2009年5月28日 (木)

BL 新日本史

「BL 新日本史」堀五朗 著/九州男児 画(幻冬舎コミックス)

私の場合、書籍購入のパターンはこんな感じです。

書店で見て・書評を見て・紹介されて 面白そう 購入

この「面白そう」の意味は、たいてい「内容が面白そう」ですが、もう一つ、「企画が面白そう」というのもあります。本書は、後者の典型例です。企画がおもしろい、という本は、これまでその他の書籍というカテゴリで取り上げてきましたが、今回はハイティーン向けの「企画が面白い」本です。

そもそも本書の頭に記された「『BL』とはなんぞや」と思われた方もいるでしょう。これは、中学生・高校生(特に女子)を持つ親や、学校の先生にはぜひ知っておいていただきたい単語です。この単語を知り、本書の趣旨を理解するために、本書のあとがきを引用します。

昔の日本人は、その習慣、心情、人間関係など、理解不能な点が結構あります。(中略)男同士の性愛”男色”や”衆道”が一番いい例でしょう。これらの文化は、現代の同性愛と同様に論じることはできません。両者の間には本質的に異なる何かがあります。一言で言えば”精神性”でしょうか。このちがいに興味を抱き、どうにか表現しようとしたのがこの本です。(中略)結果「BL史観」という、独自の歴史観に至りました。

このようにBLとは、男同士の恋愛のことです。とはいえ、いかがわしい本ではありません。本書は、古事記や日本書紀にBL的独自解釈を加えていたり、鎌倉時代を「平安時代のゲイ・カルチャーが武士の文化と融合した時代」と位置づけたりするなど、結構真面目に書かれています。確かに「BL史観」に基づく古墳時代から明治時代の歴史書なのです。それなりに楽しく読めました。「BL史観」という確立された歴史観が存在するかのようです。

けれども私は、著者の堀さんが本気で「BL史観」を書こうとしたのではないのでは、と思っています。本書はきっと、ちょっと変わった日本史の参考書なのです。
数年前に「もえたん」という英単語の参考書が流行しました。大学受験で良く出る英単語を、アニメ好きの人が喜びそうな用例で解説した本です。当時大ブレイクし、続編や類似本が多数発行されました。本書は、おそらくその日本史版なのです。

歴史上の人物や出来事を、BLで説明すれば、インパクトがある上に、このジャンルが好きな中高生は飛びつくでしょう。たとえば歴史上の人物同士の関係は、なかなか覚えにくいものですが、BLという切り口を使えば、(事実はどうあれ)印象的に説明することができます。読む側は、ばっちり記憶できるというわけです。
しかも記述は、徹頭徹尾「BL史観」に基づく、真面目な歴史書を貫いています。ですから、中高生にとっては、疑うことなく「学んで」ゆくことができるのです。なかなか巧みな編集だと思いました。

Bl BLを話題とした参考書は、他にも何冊か出ているようです。「BL英単語」や「BL幕末日本史」なども見てみましたが、BLを話題にしているだけで、深みはありません。その点本書は、参考文献も挙げられていますし、それなりの根拠も説得力もあり、良い本だと思いました。
こういう切り口で、私もブックブログが書けないものかなと思いました。

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