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2009年5月 4日 (月)

ICT教育のデザイン

「ICT教育のデザイン」水越敏行・久保田賢一編著(日本文教出版)

教育用のソフトウエア企画を仕事にしているにもかかわらず、このブログでは、情報教育やICT教育の書籍はあまり取り上げてきませんでした。これまでは「ITを自由自在に活用するヒント」という本ただ1冊を取り上げただけ。つまりは、あまり読んでいないと言うことでcoldsweats01、お恥ずかしい限りです。

本書は昨年編著者からちょうだいしたものの、横書きの本ということで、読むのを後回しにしてしまいました。どうも私の目と脳みそは、横書きの本を受け付けないようなのです。それでも、今回読んでみて、読まなかった自分の不明を恥じました。本書は、ICT教育関係の興味深い論考がたくさんつまった、今まさに私が読むべき本だったのです。

先日「教育×破壊的イノベーション」という本をご紹介しました。「現代は社会が成熟し、学ぶ意味が変化してきたのだから、新しい枠組みで教育システムを作り直さねばならない」というのが同書の主張でした。この作り直しのキーポイントがICTであると。
この視点を持って、本書を読んでみると、ずいぶん「破壊的イノベーション」のヒントが記載されているなと思いました。とりわけ興味深かったのは、第3章「武蔵大学ケータイ・ワークショップ:メディアリテラシーの展望」です。水越紳さんと阿部純さんがお書きになったこの章は、まさにメディア教育のイノベーションとはどんなものか、を具体的に示してくれました。

水越さんは、武蔵大学メディア社会学科の必修科目「メディアリテラシー論」を担当。履修者は230名もいて、講義はさながらマス・コミュニケーション化している。この状況を打破するために、ケータイを使った体験型の講義を企画。学生は、ケータイ記者になって講義を報告したり、大学のドキュメンタリーを作成したりした。ケータイを「伝達」から「表現」の道具にしたのだ。これは、従来マスメディアにとらわれてきたメディアリテラシー論に対する新たな提案である。

以上は私の要約なので、もしかすると妥当性を欠いているかも知れませんが、いずれにしてもこの主張には、いろんな意味で刺激を受けました。

このほかにも、高校の教科情報への提言や、交流学習の具体例など、注目すべき実践が紹介されています。それぞれが20ページ程度とコンパクトにまとまっていて読みやすいです。大学から小学校までの実践事例が一冊にまとまった本というのは、非常に珍しいのではないでしょうか。さらに、貴重な調査研究も掲載されています。第2章「子どもの発達とメディア」では、成長過程の子どもたちにとって、メディアはどんな影響を与えているのか、ということについて述べており、非常に興味深いデータでした。

本書は総勢21人の研究者が、それぞれの専門分野を生かし、全部で13の章を書いています。これだけ多いと、普通は内容に齟齬や重複があるものですが、少なくとも私には感じられませんでした。むしろ情報教育のオールスター・メンバーといった趣の方が強く感じられました。編著者が「はじめに」で書いている、一人の著者では出せない「理論と実践の味」、が十分に出ていると感じました。今後の製品企画に、大いに参考にしたい一冊でした。

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