« のぼうの城 | トップページ | デジタル社会はなぜ生きにくいか »

2009年6月22日 (月)

じつはウソでした!あの日本史エピソード

「じつはウソでした!あの日本史エピソード」歴史の謎を探る会編(河出夢文庫)

日本史のエピソードの中には、諺のように使われている逸話が少なくありません。「敵に塩を送る」や「天王山の戦い」などなど。それらはもちろん、多くの人に「常識」として了解されているからこそ成り立っているわけです。
けれども、それらの中には史実と違うものが含まれている、というのが本書のポイント。全部で100もの「実はウソ」エピソードが紹介されています。

本書の構成は、全7章。日本史エピソードが、時代別ではなく、内容別に紹介されています。

  1. 時代劇でおなじみの”あの人””あの場面”のウソ
  2. 誉れ高い「戦国武将」をめぐる通説のウソ
  3. 誰もが涙した「美談」のもっともらしいウソ
  4. 後世に語り継がれる「英雄伝説」のウソ
  5. 日本の歴史を左右した「合戦」の真っ赤なウソ
  6. 世間を騒がせた過激な「スキャンダル」のウソ
  7. 時代を駆け抜けたヒーローたちの「生と死」に関するウソ

「水戸黄門は諸国を巡って悪人退治などしていない」とか、「徳川吉宗は城下に繰り出してはいない」といったことは、おそらく誰でも知っていることでしょう。それでも、「ではなぜ、水戸黄門が諸国を巡る話が有名になったのか」というところまで言及しているのが、本書の価値です。「諸国漫遊」の原典と思われる話を紹介しながら、当時の庶民感情を交えての説明は、かなり説得力がありました。
他の人や他の国の話が、歴史上の有名人物のエピソードとしてすり替わるというのは、他にもいくつか紹介されています。毛利元就の「三本の矢」の話では、「元就の死の際、息子の隆元はすでに亡くなっているのだからありえない」とし、「息子3人の結束の堅さを示すため、モンゴルの故事を流用したのだろう」と解説されていました。没年という歴史的事実と、兄弟3人の結束が堅かったという文献で確認できる事実と、外国の古典にその源流を見出すなど、なかなか読ませる中身になっています。

他にも、私が、おもわず「へーっsign03」と思ってしまったエピソードがいくつもありました。

  • 鼠小僧が心優しき”庶民の味方”というのは真っ赤なウソ
  • 上杉謙信は宿敵武田信玄に塩など送っていない!
  • 在原業平の”東下り”は失恋が原因ではなかった!
  • 山内一豊の妻が、へそくりで名馬を買うわけがない!
  • 聖徳太子は「十七条の憲法」を作っていないって、ホント?
  • 「板垣死すとも…」の名ゼリフは本人が言ったのではない!
  • 咸臨丸を指揮したのは勝海舟だったというのはウソ
  • 日本はバルチック艦隊を全滅させていなかった!

このように、政治的な側面だけでなく、文化的、社会的なエピソードについても「常識のウソ」を紹介しています。しかもそれぞれが、2~3ページで完結。気軽に読めます。

多くの人は、「一般には○○と言われているけれど、実は××である」といった裏話が大好きです。だからテレビのワイドショーが成立するのでしょう。歴史の授業の際、本書のような話題があれば、日本史嫌いの解消に、少しは役立つのではないかと思いました。

|

« のぼうの城 | トップページ | デジタル社会はなぜ生きにくいか »

雑学・サブカルチャー」カテゴリの記事

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/29188/45933414

この記事へのトラックバック一覧です: じつはウソでした!あの日本史エピソード:

« のぼうの城 | トップページ | デジタル社会はなぜ生きにくいか »