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2009年6月25日 (木)

デジタル社会はなぜ生きにくいか

「デジタル社会はなぜ生きにくいか」徳田雄洋著(岩波新書)

こういうタイトルの付け方もあるのかと感心しました。本書を書店で見た時は、てっきり社会学的アプローチで「デジタル社会」を解説した本だと思ったのです。けれども、それは良い意味で裏切られました。

著者の徳田さんは、ソフトウエアや情報ネットワークの専門家。ですから本書では、デジタル化した社会の機器やサービスが、技術的側面から解説されています。その利便性と危険性を含めて。たとえば第1章の「デジタル化した世界」では、象徴的な機器3つを取り上げて解説しています。

  1. デジタルテレビ
    • なかなか出てこない画面
    • 地上デジタル放送と時報
    • テレビのデジタル移行
  2. デジタルカメラ
    • 不思議な模様
    • 半永久的でないデジタル写真
  3. 携帯電話
    • なぜ電源を切るの?
    • 携帯電話と健康

私自身、これまでデジタルには強い方だと思っていましたが、初めて知ったり、再認識させられたりする話題が数多くありました。強い雨が降ると地上デジタル放送の受信に障害が起こる可能性がある、とか、地上デジタル放送のテレビから「時報」が無くなった、とかデジタルカメラは高圧電線の近くなど電磁波の強いところでは書き込みに失敗したりデータが消えたりすることがある、といったことです。私たちの身近な情報機器は、便利だなと思う反面、不便になった点もあるのだ、ということに気づかせてくれます。

こうした機器の説明に続くのが、第2章の「情報機器との格闘」です。銀行、鉄道、空港など近年急速にデジタル化されたサービスの仕組みと課題を、世界各地で実際に起こった事例とともに紹介しています。そしてこのインフラを支える主な仕組みである、インターネットについて開設したのが、第3章「情報洪水の中で」です。理系の著者らしく、極めてロジカルな章立てとなっています。

「なんだ、技術説明の本なの?」と思われた方もいるでしょう。確かに本書は、7割方技術説明です。しかし、身近な情報機器の仕組みを専門家に分かりやすく解説してもらうと、だんだん分かってくることがあります。それは

現代の情報システムは、情報の受け手に過大な負担を課している

ということです。事実の解説を重ねることで、「デジタル社会はなぜ生きにくいか」を、読者自身に実感させるという、非常に面白い構成の本だと思いました。こうした心の準備ができたところで第4章の「困難は作られる」で、問題のありかがさらに詳しく説明され、第5章「デジタル社会を生き抜く」で、具体的な対処法が示されます。この章の終わりに示されている「デジタル社会を生きるための心構え」は、かなり普遍的な内容です。本書では、それぞれの心構えについて詳しく解説されていますが、それは本書をお読みいただくとして、ここでは、見出しのみご紹介しましょう。デジタル社会を生きる参考にしていただければ幸いです。

  • 心構え1 半分信用し、半分信用しない
  • 心構え2 必要な知識や情報を得て、自分を守り、他人の立場を尊重する
  • 心構え3 自分ですることの境界線を決める
  • 心構え4 利用することと利用しないことの境界線を決める
  • 心構え5 危険性を分散し、代替の方法を持つ
  • 心構え6 依存しすぎない

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デジタル機器やサービスを100パーセント信用することはやめよう。(171ページ) [続きを読む]

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