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2009年7月27日 (月)

誰も知らないサプリメントの真実

「誰も知らないサプリメントの真実」高田明和著(朝日新書)

いまやスーパーやコンビニでさえ買えるようになったサプリメント。テレビでも頻繁にCMが流れています。「なんか効きそうだなあ」と思う一方で「でも、ほんとに効果あるのかなあ?」という疑念があるのも事実です。「ほんとうに効くのか」は、誰もが知りたいことではないでしょうか。
けれどもテレビや新聞で、サプリメントの効果を公平に検証して報道されることはあまりありません。サプリメントのメーカーから多額の広告収入を得ていますから、批判的な報道はしにくいのだと思われます。

本書のような企画は、新書だからこそできたことでしょう。執筆された高田さんは浜松医科大学の名誉教授。つまりお医者さんであり科学者です。本書は、サプリメントが「ほんとうに効くのか」ということについて、高田さんが科学的に解説しています。
構成は、第1章「サプリメントの基礎知識」と、第2章「サプリメントの効能を分析する」の2章立て。第1章が概論で、2章が各論というわけです。まず、その概論の中身をご理解いただくため、第1章の項目をご紹介しましょう。

  1. サプリメントとは何か
  2. 調査方法も進歩する
  3. 分析結果のカラクリ
  4. 副作用はなぜ起きるのか
  5. プラシーボ効果とは
  6. プラシーボ効果も効果のうち?

このうち私が驚いたのは、「3」です。サプリメントとして売り出される成分は、必ずしも学術的な研究成果をバックボーンにしているわけではないのだそうです。企業からお金をもらって行った「研究成果」も少なくないのだとか。商業主義に影響されているのは、メディアだけじゃなかったようです。

こうした説明を受けて第2章では、全部で30近いサプリメントについて効能を解説しています。このように書くと、「○○は、効くけど、■■は効かない」といった説明を期待される方もいるでしょう。 実際私も、本書を購入した時にはそうした明快な解説を期待していました。しかし、本書にはそうした明快さはありません。なぜなら、科学的に「効果がある」と言うためには、膨大で厳密な調査が必要なのですが、判断に必要な研究成果が本当に少ないからです。
では本書ではどのような解説がなされているのか、いくつか引用してみます。

○アラキドン酸 DHAには抗うつ作用があることが確かめられています。その仕組みはまだわかっていないのですが、DHAの抗うつ作用が神経細胞の膜の伝達機能を正常化することによるのであれば、同様に膜を構成し、神経細胞の脂肪酸の12%を占めるアラキドン酸にも当然可能性があると思われます。これからの研究課題でしょう。
○ポリフェノール ポリフェノールに共通して、血圧を少し下げる効果があることがわかりました。(中略)しかしこれが主な作用で、がんを予防するとか感染を防ぐというような効果は見られませんでした。サプリメントとして人気の高いポリフェノールですが、健康維持に万能ではないのです。(中略)効果を過大に評価して摂りすぎることは、かえって健康に悪い影響があり得るということを覚えておく必要があるでしょう。

このように、効果が確かめられていることは、はっきりそう書かれていますが、そうでないことについては、慎重な書きぶりで説明されています。それと副作用についての記述が割合多かったのも驚きました。サプリメントについて、よく「毒にも薬にもならぬ」などという人もいますが、実はその逆で「毒にも薬にもなる」のです。
これまでは、サプリメントの効能について、なんとなく盲信してしいた私にとっては、とても参考になる本でした。

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