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2009年7月13日 (月)

日経サイエンス(2009年07号)

「日経サイエンス2009年07号」日経サイエンス社

本書は知人が「いいよ~」と紹介してくれました。書店で立ち読みすると、確かに興味深い内容ばかりです。けれども購入しようと思い、定価を確認してビックリ。雑誌と言うにはちょっと高めの1400円なのです。それでも、「フルカラーだし、図版はきれいだし」と自分を納得させて購入してみました。

それでも結論から申しますと、1400円の価値は十分にありました。そればかりか、次号予告にもはまってしまい、つい定期購読に申し込んでしまいました。(高いのに…)それほど面白かったのです。
もう7月号は、書店には並んでいませんので、主な内容をご紹介しましょう。

  • 実は存在しない?暗黒エネルギー
  • 遺伝子が明かす新型インフルエンザの起源 次のパンデミックを防ぐ
  • 消えたミツバチの謎
  • 緑色レーザーの夜明け(中村修二)
  • 海洋地殻はこうして生まれる
  • 色覚の深化をたどって
  • 戦争体験とPTSD
  • 超大陸分裂が生んだ恐竜の進化
  • 亡びるか?日本語で考える科学(水村美苗×茂木健一郎)

Mihiraki_2 このように興味深い記事が並んでいますが、まず注目すべきは雑誌の作りです。ビジュアルな目 次に続き、4ページを使って、注目記事のダイジェスト版が載っています。その構成要素は、記事中で最も印象的な写真、目次よりもさらに詳しいタイトル、その解説の3つ。おかげで、中身が想像しやすく、読みたい記事から読み始めることができます。さらに立ち読みする人にも便利でしょうconfident

そして肝心の記事にも、読みやすい2つの工夫がされています。第一は、記事が必ず見開きで始まり、その半分以上が図版あるいは写真で構成されている、ということです。この写真が美しいので思わず見入ってしまいます。二つ目は、記事の中身が3つの箇条書きにまとめられているということです。たとえば「緑色レーザーの夜明け」なら「ついに解消する『緑のギャップ』」と題して、こんな説明があります。

  • スペクトルの赤色域と青色域を発光できる半導体レーザーはあるが、緑色を出せるものはない
  • しかし、この「緑のギャップ」が早ければ今年中にも埋められる見通しが出てきた
  • これによって、携帯電話に搭載できるような小型のレーザー動画プロジェクターが可能になるだろう

もう、これだけで概要は完璧に理解できます。こうした工夫によって、科学専門誌が、私のような文系人間にも理解できるようになるわけです。すばらしいと思いました。

そして私が最も読みたかった記事が「亡びるか?日本語で考える科学」という対談です。作家の水村さんが著書「日本語が亡びるとき」で主張していることについて、脳科学者の茂木さんが、掘り下げています。水村さんの主張はおおよそ下記の通り。

科学のグローバル化に伴って、「書き言葉」としての日本語および日本文化が危機に瀕している。欧米ばかりか中国や韓国までも英語で研究するようになっている。しかし中間子の発見や霊長類の個体識別の研究は、日本語で考えたからこそできた研究。明治維新が非西洋語(日本語)でなされたことの歴史的意味を今一度考えるべきだ。

水村さんは12歳からアメリカに渡ったため、日本語という言語を客観視できたためにこのような発想に至ったと言います。「世界中が英語で考えたら、多様性が生まれないでしょ」というわけです。さらに国内の教育に目を向けると、中途半端な英語教育が始まった一方で、たった100年前の日本語(森鴎外や夏目漱石の作品など)さえ読めない人がほとんど、という現状。まったく耳の痛い(目の痛い?)対談でした。「日本語が亡びるとき」はすでに購入しているので、いつか読んでみようと思います。

こうした優れた考え方がダイジェストで読めるのも、雑誌のよいところだと思いました。定期購読を申し込んだ私の元には、すでに8月号が届いています。科学三昧の夏休みになりそうです。

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