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2009年10月12日 (月)

バカヤロー経済学

知識ゼロから始める バカヤロー経済学」竹内薫著(晋遊社)

竹内さんは、テレビなどでよく見かける科学作家です。私は、以前もご紹介しましたように、難しい中身をわかりやすく説明するのに長けた方だと思っています。その竹内さんが、表紙の写真そのままに「小学生になったつもりで」経済学を学ぶ、という企画が面白そうだったので、つい購入してしまいました。

ということで、軽く読み始めましたところ、意外にも本書は単なる経済学の本ではありませんでした。いや、もしかすると、経済学とはこういうものなのかもしれませんが。

冒頭でも述べたように、本書は、竹内さんが経済について学ぶ、という設定なので、経済と政治の専門家である「先生」から講義を受ける、という体裁を取っています。当初私は、実際にどこかの先生と対談したのかと思って読み進めていたのですが、どうやらこの「先生」は架空の存在です。なぜかと申しますと、架空にせざるを得ないほど、この「先生」は過激なことをおっしゃっています。なぜ過激になるのか──前書きにその答えがいきなり書いてあります。常体と敬体をわざと混ぜた、迫力ある文章です。

この本は「まじめな経済学」の教科書だ。それも学校で教わる机上の空論ではなく、「生きた経済学」の本なのだ。生きた経済学は政治と絡んでくるから、この本には「政治の裏」の話もバンバン登場する。(中略)正直者がバカを見る。現代社会にはそんないびつな構造がはびこっている。(中略)バカヤローな世の中を少しでも「まとも」にしたくて、ボクらはこの本をつくりました。どうか、最後までじっくりとお読みください。

うかつにも私は、本書を読むまで、政治と経済がこれほど密接につながっているとは意識していませんでした。日本経済が絶好調だった時、「経済一流政治は三流」なんて平気で言われていましたから、別のものだと思っていたのです。けれども経済こそが政治の要諦なのだとはっきりわかりました。

それにしても、本書は私にとって驚きの連続でした。ざっとかいつまんで紹介しましょう。

  • 日本の金融の元締めである日本銀行総裁は、経済学の専門家ではない。世界のどの国の中央銀行もトップクラスの学者を据えているというのに。なぜそんなバカな人事が行われているのか。
  • 我々が教科書で習った「公定歩合」というのは、1994年に金利が自由化されてなくなった。現在あるのは政策金利と呼ばれるもの。この変更が意味するものは。
  • 変動相場制の下では公共投資は、拡大した内需が外貨に流れるから効果無し。効果がないから、政治家は何度でもこの手を使う。
  • 実は、通貨を発行できるのは日本銀行だけではない! 実際私たちは日本銀行券以外の通貨を使っているのだ。
  • アメリカの教育が地域と密着しているのは、100%地方税で教育が運営されているから。教育とは本来ローカルなものだからこの方が絶対理にかなっている。日本でそうならないわけは…。

いかがでしょうか。他にも山のように「目から鱗が落ちる」体験をしました。たとえば安部さんや福田さんがなぜ短期で政権を投げ出したのか、という解説も、経済学の立場で見ると非常に明快です。
私たちがきちんとものを考え、主張をしていくためには、なにがしかの専門的な知識を身につけないといけないのだなあと感じました。知的刺激を大いにもらった一冊です。

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