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2009年11月20日 (金)

考えるシート

「考えるシート」山田ズーニー:著(講談社)

発想法や文章生成に関わる本は、ずいぶん発行されています。どんなに小さな書店でも、おそらく数冊は置いてあるでしょう。それくらい、多くの人が関心のあるテーマなのだと思います。このブログでもずいぶんご紹介して参りました。

そういう意味では、本書も、文章生成のための発想法について書かれた本です。けれども本書には、他の類書にはない(と、少なくとも私が思っている)決定的な特徴があります。

それは「愛」です。「文章生成に『愛』? なんじゃそりゃ」とお感じになる方もいるでしょう。けれども山田さんの書籍を、1冊でもお読みになった方にはご理解いただけるかと思います。

以前に「理解という名の愛が欲しい」という山田さんの著書をご紹介しました。この本で再々述べられていたのが、「伝える相手への思いやり=愛」ということです。実は、この本と同時に本書を購入していたのですが、テンプレートが中心のワークシート集のように考えて、先日まで読まずに放置していました。今回、仕事上の都合で改めて読み直してみたところ、非常に感じるところがありました。本書は、「理解という名の愛が欲しい」の実践編と位置づけることができそうです。発行日は前後しているのですが。

この「気持ちを前面に出した文章生成」ということは、目次にもはっきりと現れています。

ステージA 相手とつながる
 1 「おわび」をする
 2 「お願い」をする
 3 「ありがとう」の気持ちを伝える
 4 へこんでる人を「励ます」
ステージB 自分とつながる
 5 自己紹介をする
 6 自分を社会にデビューさせる企画書をつくる
 7 自分の「悩み」をはっきりさせる
ステージC 他者・外・社会とつながる
 8 志望理由を書く
 9 レポートを書く
 10 小論文を書く
 11 会議を自分でしきる
 12 みんなの前で話す

文章生成指南の本は、星の数ほどありますが、まず「おわび」から入る本は、おそらく皆無でしょう。けれども、ここにこそ山田さんなりの考えがあります。それは、「おわび」や「お願い」にこそ、つながることのポイント、つまりコミュニケーションの本質があるということです。気持ちのつながりを埒外において、志望理由書やレポートを書いたとしても、まったく伝わらない、という主張です。

Sheet ではどうすれば伝わるのか。山田さんは「問いをつないで行く」という手法を紹介しています。この手法は「理解という名の…」でも紹介されていました。本書では、より具体的に、目的別のシートとして示されています。
たとえば左は、「お願いを考えるシート」です。見やすいように、私の方で趣旨を変えずに再構成してみました。自己紹介からスタートして、志で終わる、というあたりが、山田さんの真骨頂という感じです。私がもしこうしたテンプレートを作るとしたら、「志」を「ねらい」と変えて、しかも冒頭にもってゆくことでしょう。しかし、「ねらい」という言葉には、「愛」がありません。だから、これまで私がいろいろな人に紹介してきた技法は、評判が悪かったのです。深く納得しました。

効率化が求められる現代、ノウハウやハウツーが重宝される傾向があります。確かにそれも便利です。ただその前に、ちょっと立ち止まり「なぜそのノウハウが必要なのか」を考えて、そこにある自分の思いをふりかえってみてはいかがでしょうか。道具もハウツーも、使うのは人。そこにちょっとだけ「愛」を込めてみたら、ずいぶん違ってくるのではないかと思います。

本書を読みながら、仕事について考えているうちに、そんなことを感じました。

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