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2009年11月 3日 (火)

大学 総力ワイド特集

Daigaku週刊ダイヤモンド 2009/10/31号 大学 総力ワイド特集」ダイヤモンド社

先週の週刊ダイヤモンドはご覧になりましたでしょうか。この雑誌の広告が電車の中吊りに出た時「ああ、またいつものやつね」と思い、さして気に留めませんでした。どこの大学から、有名企業や司法試験、公務員試験に何人受かっているとか、偏差値がどうしたとかという、週刊誌にありがちなネタだと思ったからです。

とはいえ、立ち読みしてちょっと考えが変わり、購入してみました。もちろん本誌にもそうした記事は掲載されていますが、それより大きな問題を指摘していたからです。

まず目を引いたのが、大学の財務状況ランキング。これは、経営基盤が異なるので、国立大学と私立大学を分けてランキングされているわけですが、非常に興味深い資料でした。

まず国立大学については、「剰余金繰越承認見込額」が注目です。これは運営交付金(国からのお金)+授業料などの収入から、経費を引いた金額に余剰が出たら、自由に使っていいよ、というお金とのこと。つまり経費節減や寄付増加をがんばれば、自由に使えるお金が増えるというわけです。運営交付金は、2005年から前年比1%ずつ減額されていますから、大学のがんばりが如実に表れる数字と言うことなのでしょう。
37億円も稼ぎ出している京都大学に対して、200万円の宮城教育大学、600万円の宇都宮大学は、どうするのだろうと思いました。しかもこの2学が最下位でもブービーでもないという事実にさらに驚きます。

それから私立大学は、黒字のトップは帝京大学、第2位は早稲田大学。一方赤字額が大きい大学は医学部のあるところばかり。それでもそうしたところは、資産が大きいのですぐにつぶれることはないでしょう。問題は、収入も資産もかなり小さい大学がかなりたくさんあるということです。さらに本誌では、大学の破綻についても詳報しています。それまでは、3件しかなかった大学破綻が、昨年1年だけで5件も発生しているというのです。

これについて記事では、「文科省が天下り先を増やしたいために、経営の不確かな大学設置をどんどん認可したからだ」と断じていますが、あながち間違いではないような気がしました。大学選びは通常の商品と違い、「だめだったから、はい次」というわけには行きません。入っては見たものの「来年からは新入生を募集しません」というのでは、学ぶ意欲が湧くはずがありません。高校の進路担当の先生には、偏差値だけでなく、こうした財務状況のデータも把握して指導していただきたいなと思います。もしかすると、最近の高校ではすでにそうしているのかもしれませんが、この財務データは、ダイヤモンド社総力取材の成果らしいですから、貴重な情報になるはずです。

それから、大学生がバカになっているという記事もありました。これはゆとり教育のせいだ、としていましたが、これは明らかに正しくありません。因果関係を説明したことになっていないからです。そもそも国立大学の入学定員を大幅に増やしたのに、その後減らしていないことが問題なのです。現在は18歳人口はピーク時の約半分に減っているのですから、学力分布が同一だと仮定すれば、中堅校、下位校で極端に低学力の学生が存在するのは当然の帰結です。

本日は文化の日(といっても元々は明治天皇の誕生日ですが)。何も大学だけが文化の砦というわけではありませんが、やはり日本のアカデミズムを担う大事な組織であることは間違いありません。大学関係者には、ぜひがんばってもらいたいと思いました。

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