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2010年1月18日 (月)

こども論語塾

親子で楽しむ こども論語塾」安岡定子:著/田部井文雄:監修(明治書院)

先日「そういえば児童書を久しく見に行っていないなあ」と思い立ちました。教科書編集者だった時は、最低月に2回はチェックしに行っていたのに、変われば変わるものです。年末年始は、児童書が充実する時期なので、お気に入りの書店にて、児童書コーナーを久しぶりにじっくりチェックしてみました。最近はどんな本が売れているのか、注目すべき絵本作家・児童文学作家はいないか、面白い企画の本はないか──などなど。

そうして見つけたのが本書です。

タイトルの通り、本書は、論語の言葉を子どもにも読めるように、また、子どもでも理解できるように紹介した本です。このように書くと、なんだか説教めいた本を想像するかと思います。しかも本書は、論語の音読や暗唱を前提とした本とのこと。「音読や暗唱? 寺子屋じゃあるまいし、そんなことが可能なの?」と思いますよね。

けれども本書を企画したきっかけは、文京区で開催されている「文の京こども論語塾」で、子どもからお年寄りまで多くの人が、論語を素読する姿だったのだそうです。著者の安岡さんは、その講師。ですから、本書には論語を声に出して読むための様々な工夫が盛り込まれています。

Rongo まずは本書の装丁。A4変形に近いサイズと大判でなおかつハードカバー、まるで絵本のような感じです。手に持って音読したり、親子で同じページを一緒に見たりすることを想定しているのでしょう。とてもよく考えられていると思いました。
Kousei_2 つぎにページデザイン。左に示したように、すべて見開きで構成されていて、ページ右側にの読み下し文、左に子ども向けの解説文がメインとなったデザインとなっています。活字には、視認性の高い丸ゴシック体を採用し、サイズも大きく、ルビも振ってあるので、子どもからお年寄りまで楽に読むことができるでしょう。原文と口語訳も参考までに掲載されています。

最近の脳科学の成果もあってか、音読や暗唱が見直されているようです。本書もそうした時流に乗っているせいか、私が購入した本は、すでに第12刷にもなっています。児童書で20刷とか、30刷りはまったく珍しくはありませんが、本書の場合刊行からまだ2年も経っていませんから、ちょっと特別でしょう。その売れた(受けた)秘密は、いったい何だったのかなあと思います。

上に書いたような編集的工夫は、どの本でもなされています。むしろ本書の場合、編集的な問題点の方が目に付くくらいですsad(明治書院さんすみません)それでもなお、これだけ多くの人に支持されたのは、著者の思いの強さなのかなあと想像しました。「子どもたちに論語を伝えたい」という安岡さんの思いは、子ども向け解説文からよく伝わってきます。実際に論語の講座を担当されているというのも大きいでしょう。文京区だけでなく、仙台でも担当されているそうですから、そのときの受講生が感動して購入するということもあるでしょう。

思いはテクニックを超えるのだなあと痛感させられた一冊でした。

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