« からだログ | トップページ | なぜ宇宙人は地球に来ない? »

2010年2月15日 (月)

こんどこそ!片づける技術

片づけられない女のための こんどこそ!片づける技術」池田暁子:著(文藝春秋)

池田暁子(きょうこ)さんのことは、定期購読している週刊文春で知りました。「人生モグラたたき!」と題して、毎週見開き2ページを執筆されています。これは、最近増えてきている「エッセイ漫画」というジャンルになるでしょうか。絵が独特でかわいいのはもちろん、絵と文章の兼ね合いが絶妙で述べ方のパターンも多いので、毎週「うまいなあ」「引き出しが多いなあ」と思っていました。

そんなときに出会ったのがこの本。いきつけの書店で、池田さんの本を並べたコーナーがあり目に付いたのです。

どんなに小さくても、書店で作家のコーナーがあるというのはたいへんなこと。そうです、池田さんはすでに売れっ子作家だったのです。実際私が持っている本は、2007年の発行で、すでに第21刷!。しかも、中国語やタイ語に翻訳されて海外でも出版されているとのこと。まったく知りませんでした。そりゃ、文春で連載も持ちますよね。

本書は、とんでもなく散らかった部屋(汚部屋)に住んでいた池田さんが、汚部屋に至った経緯とそこから脱出した方法について書いた(描いた)本です。といっても単なるハウツー本ではありません。ちゃんとストーリーがあるのです。ただ、このストーリーがあるおかげで、「汚部屋から脱出する技術」がより的確かつ印象的に語られているとも言えますが。エッセイ風ハウツー漫画もしくは、ハウツー本的エッセイ漫画と言えるでしょう。

先日NHKで特集がありましたが、汚部屋に住む人は少なくないようです。私も学生時代はそうでした。ですから、そこから脱出するための本というのは、結構出版されています。そんな中で本書がこれだけ売れている理由は、絵による説得力作者の視線でしょう。

Page

まずは絵による説得力について。本書の表紙に描かれた、このとんでもなく汚い部屋の様子は、言葉で書き表すのは至難の業ですが、絵なら一発です。次にハウツー。左の漫画では「毎日使うものは基地へ」という言葉とともに、具体的なイラストが描かれているので、ポイントが明確に分かります。それから、片付けたときの快感。片付いた様子とそのときの表情は、何よりも雄弁に気持ちを語ります。左の漫画の右ページの表情からも達成感が読み取れますよね。

次は作者の視線。ハウツー本は、知っている人が知らない人に向けて書くため、どうしても「上から目線」になりがちです。しかし池田さんは自分の愚かさを惜しげもなく、しかも何度も披露して読者の共感を誘います。「彼氏に部屋を見られて振られた」「片づけようと思って購入した棚は全部で23個、購入金額は34万2200円」というエピソードは、自虐的ですが、ユーモアあふれる語りとイラストのおかげで、片づけようという意欲を高めてくれるのではないでしょうか。彼氏に振られたエピソードについては、アマゾンで立ち読みできますので、興味のある方はぜひご覧下さい。

漫画評論でも有名な漫画家、いしかわじゅんさんが、どこかの書評で「エッセイ漫画は、日常の何でもないことを漫画にしている。しかし日常をただ描いても漫画にはならない。そこに才能や技術が必要であることは自明である」と書いていた記憶があります。本書を読んで、その主張がよくわかりました。
池田さんのイラストは、一見単純な線と点でできているように見えて、その実とても表情豊かです。きっと絵の基本をしっかり学んだからではないでしょうか。また、話のつなげ方や絵と組み合わせる言葉の選定も巧みです。このあたりは、広告やデザインの仕事をしていたことが生かされているのだと思います。

池田さんは他にも「こんどこそ!貯める技術 」「必要なものがスグにとり出せる整理術!」といった本を出されています。これらが「池田暁子の『人生立て直し』シリーズ」と銘打たれているのには笑いましたが、これを機会にちょっと読んでみようと思いました。

|

« からだログ | トップページ | なぜ宇宙人は地球に来ない? »

まんが」カテゴリの記事

エッセイ」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/29188/47428264

この記事へのトラックバック一覧です: こんどこそ!片づける技術:

« からだログ | トップページ | なぜ宇宙人は地球に来ない? »