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2010年2月17日 (水)

なぜ宇宙人は地球に来ない?

「なぜ宇宙人は地球に来ない? 笑う超常現象入門」松尾貴史:著/しりあがり寿:画(PHP新書)

突然ですが、UFOや幽霊、超能力は信じますか? 私は、子どもの頃、こういう話が大好きで、真剣に信じていました。テレビでもそうした番組が頻繁に放映されていましたし、書籍も販売されていましたので疑う余地がなかったのです。「ノストラダムスの大予言」なんてのは、その典型でした。

本書の著者、松尾さんもまったく同様だったそうです。しかし、長じるにつれ、いわゆる超常現象を語る人たちのうさんくささや、それらを無批判に信じてしまう人たちがあまりに多いことに苦々しい思いを抱くようになったことが、本書を書く動機となったとのこと。

本書では、超常現象を始め71もの「謎」が取り上げられています。UFOや超能力はもちろん、ナスカの地上絵、ESPカード、ピラミッドパワー、姓名判断、サイババ、ヒランヤ、エクトプラズム、キャトル・ミューティレーションなどなど。「なんじゃ、それ」と思われる方も少なくないと思いますが、元オカルト少年だった私は、本書を読む前に、それがおよそ何であるかは、すべて知っていました。つまり、当時はそれほど入れ込んでいたと言うわけですshock

松尾さんは、これらの「謎」に、次々と「疑問」を提示して行きます。「否定」ではなく、あくまで「疑問」の提示というところがミソです。このあたりの考え方について、松尾さんが「はじめに」に書いた内容を次のようにまとめてみました。

本書は、超自然現象や心霊現象を分析したり検証したりすることが主眼ではないので、どうか気楽に読んでいただきたい。「信じる×信じない」という議論ではなく、「ちょっと待てよ」と立ち止まって考えてみるための話題を提供したつもりだ。私が、オカルト業界の皆さんに反論するのは、健全な懐疑精神の発揮は、不思議に対する愛情表現だと思うからである。

いわば、オカルト現象に対する、クリティカルシンキングのすすめと言えるでしょう。私が本書を読んでみようと思ったのは、まさにこの点にあります。実際本書では、様々な不思議な現象について、「健全な懐疑精神」が遺憾なく発揮されています。ポイントは以下の3つです。

  • 実験結果の解釈が適切かどうか
  • 不思議現象の原因が、他のにある可能性はないか
  • 不思議現象の説明や解説が、合理的(論理的)かどうか

これらの考え方が元になって、個々の記事において、「疑問」が、もっと具体化されて示されています。結果的に「疑問」は、たいていは「否定」になってしまうのですがcoldsweats01
本書はもともと、「モノマガジン」という雑誌のコラムに連載されていたのだそうです。ですから、1つの現象について5ページ前後で語られています。この短い中に、

  • 不思議現象の概要
  • それを指示する人たちの主張
  • 松尾さんのつっこみ(疑問)

をすべて入れ込んで、しかも落ちまで付けているのですから、なかなかの文章力です。説明の仕方については、私もずいぶん参考になる表現がありました。短い上に主張には必ず根拠がある文章なので、小論文の参考図書にもなるのではないでしょうか。これまで松尾さんのことは、しゃべりの上手なタレントさん、という認識しかありませんでしたが、飛んだ思い違いでした。

インターネット時代になり、情報メディアがますます身近で幅広くなる中で、情報に対して疑問を持つことは、ますます大切になっていると思います。自分では冷静で合理的な判断をしているつもりでも、非合理な思い込みに支配されていると言うことは、私自身少なくありません。今回本書で「雨男・晴れ女」「猫よけのPETボトル」の記事を読んで、情報を無批判に受け入れる傾向があることを痛感させられました。

「疑う」ことは「不思議に対する愛情表現」である、と松尾さんは言います。情報があふれるこの時代、こうした愛情表現は、これからますます必要になるのではないかと思いました。

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