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2010年2月 3日 (水)

日経サイエンス(2010年03月号)

「日経サイエンス 2010年 03月号」(日本経済新聞出版社)

定期購読している日経サイエンスは、美しい写真とタイムリーな話題を提供してくれるので、とても気に入っています。今回のテーマは「地球を明るくする冴えたアイディア20」です。

この特集記事が興味深かったことはもちろん、「エネルギー」を話題とした記事が興味深く感じました。ビジネスや生活に直結する部分だからです。新しいアイディアがどんどん出されているのだなと感じました。

まずは特集記事。アメリカの「SCIENTIFIC AMERICAN誌」の編集顧問委員会が選んだ「未来を変える可能性を秘めたプロジェクト」を紹介しています。(日経サイエンスは、同誌の日本版という位置づけ)話題は「IT・ロボット工学」「健康・医療」「エネルギー」「交通」「環境」の5分野です。

このうち、「エネルギー」で紹介されているのが「タダで始められる太陽光発電」というアイディア。これはサイエンスと言うよりビジネス上のアイディアですが、アメリカではすでにこれを実現させるための法的整備をする州が出てきているとのこと。エネルギー価格が現在のように高止まりしている、という前提が不確定要素ではありますが、太陽光発電を劇的に普及させるよいアイディアだと思いました。この他にも次のような注目アイディアが紹介されています。

  • ガソリンの畑光合成でガソリンを生成する植物を開発する
  • 情報技術で省エネ電力消費を分刻みで確認できるメータを設置
  • ”ホット”な核燃料トリウムを使った原子力発電
  • 成層圏で風力発電成層圏の風力は莫大なエネルギー
  • ゴミで発電ゴミから合成ガスを生成し発電

よくこんなアイディアを思いつくものだと思って感心してしまいました。電力メータに関しては、すでにアメリカで実用化されているそうです。「成層圏」のアイディアは、建造物をどうやって造るんだろ?という疑問は残りますが、本誌にはイメージイラストが掲載されていました。

エネルギーに関しては、この特集以外に、さらに2つの注目記事がありました。1つは「石油資源を搾り出す」です。

  • 新技術で石油資源探査が行われたのは、まだ地球の1/3に過ぎない
  • 既存の油田からさらに石油を搾り出す技術が進んでいる

私がビックリしたのは、油田の地下には、石油の湖や川があるわけではないということです。地表から穴を空けると、岩盤にしみこんだ石油が内圧によって吹き出てくる、というのが実際。いわゆる「油田が枯れる」とは、この方法で採れなくなることを指していたのだそうです。言われてみれば「なるほど」と思いますが、案外誤解しているものだと思います。
近年原油が高くなり、「枯れた」油田からさらに搾り出してもコストに見合うようになった、ということで、その絞り出し法がいくつか紹介されていました。これがまさに科学の粋。物理学や化学はもちろん、生物学も応用した方法なのです。私が子どもの頃から、「あと○○年で石油が枯渇する」という言説をよく目にしましたが、「○○年」の部分が揺れ動く意味がよくわかりました。

もう一つは、地下に大量に存在するメタンの話題「ツンドラの湖に潜むメタン」。永久凍土で封印されているメタンが、温暖化によって大気中に放出されると、地球環境に多大なダメージがある、という記事でした。メタンハイドレードの利用を巡って中国と領土問題が発生していますが、これを読む限り、メタンの利用は、バラ色の未来だけではないようです。とはいえ、エネルギー無しに私たちは生活できないわけで、こうしたリスクがあっても、メタン利用の方向は止められないのだろうなとも思いました。

本誌は1月号でも、「2030年までに化石燃料は全廃できる」という特集をやってました。エネルギーと科学というのは、もはや切っても切れない関係なのだと思います。

それにしても、日経サイエンスは、良くできた雑誌です。とにかく写真がきれいで大きいですし、図表も美しく、分かりやすい工夫がなされています。記事が、「見出し→サマリー→本文」という構成になっていることも秀逸です。もちろん記事の企画もぬかりはありません。たとえば、茂木健一郎さんのコーナーは、いつも興味深い話題で一杯。今回は、マントルまで掘り抜く、世界最強の科学掘削船「ちきゅう」への乗船ルポでした。
だから1400円という価格もわかるのですが、毎月買うにはちょっと勇気が要ります。SCIENTIFIC AMERICANは、アメリカで80万部も売れているそうです。日本でももっと売れて、1冊1000円以下になって欲しいなと思います。

それが「地球を明るくする」第一歩だったりしてhappy01

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コメント

こんにちは!
すごい読書量ですね。しかも本当にいろんなジャンルをお読みになっていてびっくりしました。
私は自分の好きなものしか読まない偏読家(笑)なので、こうしていろいろたくさん読まれる方は
本当に尊敬します。。
で、意外と別ジャンルだけどリンクしたりしますよね。
メタンハイドレードの話は私も「深海のy」で読みましたよ!(笑)

投稿: mega | 2010年2月 3日 (水) 16時19分

megaさん、コメントありがとうございました。
以前、国語教科書の編集をしていたので、多方面にアンテナを張る癖が付いてしまっています。
とはいえ、あちこち読みあさる割に身につかないのが難点なのですがcrying

投稿: むらちゃん | 2010年2月 3日 (水) 19時51分

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