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2010年5月21日 (金)

変な給食

「変な給食」幕内秀夫:著(ブックマン社)

全国の小学校のほとんど、幼稚園や中学校でも多くのところで給食が出されていることでしょう。私も、ある意味給食を楽しみにして学校へ通っていました。食べ物に不自由しなくなったと言われる現代でも、給食は子どもたちの栄養バランスを保つ意味で重要であると聞いたことがあります。
けれどもその大切な給食が、いま大変なことになっていると幕内さんは言います。食に対する大人の無理解が、給食を大変ゆがんだものにしていると言うのです。

この本の存在は、ビックコミックオリジナルに連載中の「玄米せんせいの弁当箱」というマンガで知りました。これは、日本の食をテーマに、国木田大学の先生が活躍する、という作品です。5月5日に発売された雑誌に変な給食がいくつか掲載されていました。

Kyushoku

たとえば、パンにアイスクリーム用のコーンがくっついた「アイスクリームパン」。私はてっきり、マンガのテーマをはっきりさせるために作者が創作した架空の給食だと思っていました。ところが、この給食は実在したのです。本書の表紙にも掲載されていますし、本文には、それを出した自治体名と、メニューの写真が掲載されています。これは衝撃でした。ほかにもたくさんの「変な給食」が紹介されていました。

  • いちご味の蒸しパン+きつねうどん
  • 天ぷら+味噌汁+黒パン
  • アメリカンドッグ+小倉白玉+カレーうどん

いかがでしょうか。あまり食欲が進む感じのメニューではありませんよね。幕内さんは、「パンをご飯に変えるだけでずいぶんまともになる」と述べています。しかも、パンには砂糖や油脂がたくさん使われているので、肥満の原因になっているのだそうです。実際、完全米飯給食を実現している新潟県三条市では、2005年に11.6%だった小学生の肥満率が、2007年には、9.2%に減少したのだとか。この部分は、三条市の職員の方が執筆されていますから、説得力がありました。

また、メニュー構成はまともでも、給食としてはどうか、というメニューもあるそうです。「海老カツバーガー+雪見だいふく」という、まるで○ッテの回し者のようなメニューも、実際ある自治体で出されています。幕内さんは、「算数や国語でやりたい単元のアンケートを採りますか」と問いかけた上で、「給食が食育の一環である以上、指導方針に基づいて献立が決まるはず。子どもに好きなメニューを聞くのは直ちに止めるべき」と主張します。

さらに、おやつの位置づけが大人と子どもでは違うことを理解して欲しいと言います。胃袋が小さく成長途中の子どもたちにとって、おやつは食事なのです。だからおにぎりがよいとのこと。一方大人にとってのおやつは、ストレス解消。位置づけとしてはタバコと同じ、精神的な食べ物なのだと言います。だから子どもには良くないのだと。タバコは吸わないけれど、甘いものが大好きな私にとって、この説明はとても納得できるものでした。

本書の主張には、おそらく異論もあることでしょう。しかし、学校給食関係の方には、ぜひ一読いただきたいと思いました。傾聴に値する部分は必ずあるはずです。実際に幕内さんのアドバイスで成果を上げている自治体もあるようですから。それから、中学生以下のお子さんを持つ親御さんも。
私自身も、食事について再確認するよい機会になりました。

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コメント

おはようございます。
そういえば、むらちゃんのこの記事を拝見して、ああ、面白そう、読んでみようと思ったのでした。どうもありがとうございます。
確かにややエキセントリックなつくりにはなっているかもしれませんが、大切な提言を含んでいると思います。なんといっても、家庭の食卓の問題じゃないわけですから。

投稿: 時折 | 2010年10月15日 (金) 06時26分

時折さん、コメントありがとうございました。
はい、本書に関して「取り上げている事例は部分に過ぎない」という批判がよくなされていますが、全体でないから問題ではない、とは言えないはずで、そういう意味で意義ある出版なのかなと思いました。

投稿: むらちゃん | 2010年10月15日 (金) 14時26分

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