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2010年6月18日 (金)

日経サイエンス(2010年7月号)

「日経サイエンス(2010年7月号)」(日経サイエンス社)

毎度興味深い記事が掲載されているこの雑誌ですが、今月は特に面白い記事が目白押しでした。私が注目したのは次の記事です。

・ここまで来たiPS細胞
・動き始めたオールジャパン体制
・うつ病,強迫性障害,PTSD…見えてきた脳の原因回路
・知られざるトリュフの世界
・イザというときの“携to携”ネットワーク
・金属に刻まれた古の技術を探る

まず、「ここまで来たiPS細胞」と「動き始めたオールジャパン体制」は、1セットの記事と見て良いでしょう。サイエンティフィックアメリカン誌の翻訳記事と思われる「ここまで来たiPS細胞」では、iPS細胞研究の現状と可能性について説明されていました。ほんの4年前に、京都大学の山中教授らが作りだしたiPS細胞は、今や世界中の研究者によって、より簡単でより安全な作成方法が研究されているのだそうです。この記事を書いたホッケドリンガーさんの結びの言葉が印象に残りました。

iPS細胞が多くの悲惨な病気の研究と治療に今後も影響を与え続けるのは確実だろう。そして、20世紀にワクチンと抗生物質がもたらしたのと同じくらいの大きな影響を持って、21世紀の医療に革命をもたらす可能性がある。

この記事の直後に「動き始めたオールジャパン体制」と題して、京都大学iPS細胞研究所という組織が出来たことと、日本の研究は今どこまで来ているのか、をまとめた記事が掲載されていました。これを読むまで、私はiPS細胞とES細胞は同じもの(研究の進化に伴って名称が変わったもの)と思っていましたが、それが誤解だと分かりました。また、日本の微細加工技術とiPS細胞の先端研究が組み合わされれば、将来の再生医療に日本が大いに貢献できる、という言葉に、明るい未来を感じました。

うつ病,強迫性障害,PTSD…見えてきた脳の原因回路」では、従来精神的なものと考えられてきた、うつ病やPTSDが、実は脳の神経回路の異常な活動が原因であることがわかってきた。このメカニズムが解明されれば、回路の誤作動の原因が突き止められて、治療方法が確立されるのではないか、という記事でした。すごいなあと思う一方で、ちょっと怖い気もしますが。
知られざるトリュフの世界」では、高級食材として知られるトリュフが、実は日本にもある、というのに驚きました。そればかりか、世界には何千種類もあるのだとか。そしてそれは森の生態系を支えている、という記事でした。

そして「こんなこと、よく思いつくなあ」と感じたのが、「イザというときの“携to携”ネットワーク」という記事。災害になると、アクセスが集中や基地局の損傷によって、携帯電話が使えなくなるので、携帯電話同士が直接つながるようにしよう、という研究が始まっているというのです。これはちょうど、ホストコンピュータを必要としていたパソコン通信が、それを必要としないインターネットに移行して行く変化に似ていると思いました。犯罪に使われるとちょっと困るなとは思いましたが、とても面白い研究です。

そして最後が「金属に刻まれた古の技術を探る」と題した茂木健一郎さんの対談記事です。「理系の考古学者」とも言うべき齋藤努さんが登場されていました。齋藤さんのお仕事は、火縄銃の速度を測って、その破壊力から武器としての位置づけを定義したり、小判の成分分析から鋳造された場所や時代を特定するというもの。考古学と科学って意外と近い関係にあるのだなあと認識させられました。

来週末にはおそらく8月号が届くだろうと思います。予告編によれば「旅するウナギの謎」「盲人の不思議な視覚」「米国の鉄道計画」など、面白そうな話題ばかりです。毎度裏切らない本誌の企画だけに、今からとても楽しみです。

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