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2010年6月 2日 (水)

ビジネスマンのための「発見力」養成講座

「ビジネスマンのための『発見力』養成講座」小宮一慶:著(ディスカヴァー携書)

突然ですが、クイズです。コンビニ大手のセブン-イレブンの看板にある表記のうち、正しいのはどれでしょう。

  1. 7-ELEVEN
  2. 7-eleven
  3. 7-Eleven
  4. 7-eleveN
  5. 7-eLEVEN
  6. 7-ELEVEn

正解は6。「7-ELEVEn」です。ちなみに私は、自宅のすぐ隣がセブンイレブンであり、看板を毎日見ているにもかかわらず、1だと思っていました。小宮さんはこの現象について、他の事例も挙げながら次のように説明しています。

わたしたちは、デジタルカメラのように、全部くまなく頭の中に映像として記録するわけではありません。目に入ってくるものを選んでみる、というか、あらかじめ、見ようと決めたものだけが「見える」のです。(中略)ものを見る力を磨くには、まず、自分には見えていないものがある。分かっていないことがあるという意識がとても大事です。

「発見力」を考える前に、まず見えていないことを知りなさい、というわけです。ある弱小チームを任された野球監督が、選手に、勝つための「何が出来ているか」ではなく「何が出来ていないのか」を説明したという話を読んだことがあります。これと同じだなあと思いました。

この点について納得すると、当然「では、ものを見るためにはどうしたらよいか」という疑問が湧きます。小宮さんは次のような過程を示しています。

関心を持つ → 疑問を持つ → 仮説を立てる → 検証する

「関心を持つ」と「疑問を持つ」は、ここでの場合同義であるように思えてなりませんが、それは本筋ではありませんので、ひとまず措いておくとしましょう。いずれにしてもポイントは、「仮説を立てる」です。ここが最も難しい部分でしょう。
小宮さんは、名門ゴルフクラブの会員権価格の定点観測や、サラダバーのミニトマトの観察、旭山動物園成功の考察などから導き出した仮説を示しながら、「仮説とは何か」を解説しています。とはいえ、結局は「訓練で向上する」となっていて、多少拍子抜けしてしまう部分もありますが。

本書は約1時間で読み終わりました。ページ数が少なく、行間がかなり空いているからです。内容も小宮さんの経験や身近な例が中心であるため、立ち止まって考えたり、前の章を再確認するという過程が不要だったからです。つまり本書は、タイトルが「養成講座」という割に、「発見力」を分析的に示し、身につけ方を体系的に示したものではありません。説明がトートロジー(同義語反復)のように見える部分もあります。
けれども、この中身を学術論文のように示されてもおそらく読みにくいことでしょう。本書のような内容の場合、「著者の体験が多い」というのはメリットです。「手軽に読む中で、なんとなく理解する」これが本書との正しいつきあい方だと思いました。最終章に示された、「ものが見える10の小さなヒント」などは、いつも携行しているノートにメモしておきたいくらいです。

重厚でしっかりしたものだけが本ではない、人ごとにいろんなつきあい方があるように、書籍ともいろんな読み方があるのだと実感しました。そんな当たり前のことを再確認した一冊でした。

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コメント

ちょっと余談ですが、昨年「読めてしまう文章」というのが流行りましたね。

・・・・・・・・・・・・・・
こんちには みさなん おんげき ですか? わしたは げんき です。

この ぶんょしう は いりぎす の ケブンッリジ だがいく の けゅきんう の けっか

にんんげ は もじ を にしんき する とき その さしいょ と さいご の もさじえ あいてっれば

じばんゅん は めくちちゃゃ でも ちんゃと よめる という けゅきんう に もづいとて

わざと もじの じんばゅん を いかれえて あまりす。

どでうす? ちんゃと よゃちめう でしょ?

ちんゃと よためら はのんう よしろく

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
校正をしていると、つい読んじゃって見逃し、なんてこともよくあります。ケンブリッジの研究というのは嘘らしいですが、結構気に入っています。


投稿: 副部長K | 2010年6月14日 (月) 18時03分

副部長Kさん、コメント&貴重な情報ありがとうございました。
この文章はおもしろいですねえ。私もこの話、聞いたことがあります。英語も同じらしいですね。

脳みその類推する働きが読ませているのでしょうけれど、不思議な現象です。

投稿: むらちゃん | 2010年6月14日 (月) 20時07分

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