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2010年7月23日 (金)

「読む」だけダイエット

心理学の先生が教える 『読む』だけダイエット」市村操一・小澤まや:著(三笠書房王様文庫)

読書でダイエット」とばかりに、買ったまま放置していた本を優先的に読んでいたところ、なんとも皮肉な本を発見しました。2年ほど前に、「さすがに痩せないとまずいかなあ」と考えて、購入し「これを読んだら実践してみよう」と思っているうちに、お蔵入りにしてしまった本でした。

今回改めて読んでみて、いろいろと考えさせられました。ダイエットのスタート時に本書を読んだとしても、おそらくピンとこなかったでしょう。けれども、一定の成果を出した今では、本書の主張がとてもよく理解できます。山と同じで、登ってみて初めて見える景色というのが確かにあるのだなあと実感しました。

読みながら、そもそも本書をなぜ購入したのかを思い出しました。まず本書の帯に

やせる理由は「頭の中」にありました

と書いてあったのが目を引いたからです。それまでのダイエット本は、食事制限や運動の「方法」が書かれているものが一般的でしたから、「心理」に着目した本書は新鮮でした。とはいえ「こんな風に考えましょう」と言われても、何の説得力もありません。ですから、本書は元編集者でライターの小澤さんが、父であり心理学者の市村さんのアドバイスを受けながら、実際にダイエットする過程を解説していくという、往復書簡のような形式を取っています。これは面白い構成だと思いました。

市村さんによる、一番初めのアドバイスは「どうしてやせたいのか、その理由をはっきりさせよう」です。この指示を受けて小澤さんは、自分のこれまでの生活を振り返りながら、3つの理由を設定しました。市村さんは、それを「理由が具体的でよろしい」と評価します。具体的に書けるのは、ダイエットをしようという自分の心と向き合えている証拠だというのです。「なんとなくやせたいから」では、決してうまく行かないといいます。

思い起こせば、私のダイエットを志した理由も、非常に具体的でした。人生最高体重132kgを記録していたとき、トイレで「大」をした後、おしりが拭けなくなっていたのです。飛行機に乗ったとき、シートベルトができないという事態にも遭遇しました。それまでは、自分のことを「フットワークの軽いデブ」と自任し、健康診断でいくらアラートを出されようとも気にしなかったのですが、さすがにこの2つの事件はショックでした。この強烈な動機があったからこそ、1年間挫折せずに続けられたのかなと思います。
その意味で、市村さんが述べている「まずやせたい理由をはっきり」というのは、とても理にかなった指示だと思いました。

この後、市村さんの指示は「目標体重と期間をはっきりさせる」「周囲にダイエット宣言をする」といった一般的なものから、「無理な運動はせず、部屋をきれいにする」「食事は1日3回、おやつ1回に決める」といった、一瞬「え?」と思うようなものまで、かなり具体的に繰り出されます。
この中で「食事は1日3回、おやつ1回」というのには、誰もが違和感を持つのではないでしょうか。私も読みながら「さすがに、おやつはないだろう」と思いました。小澤さんも「え、おやつ食べていいの?」と聞き返しています。けれども市村さんは、「今、1日おやつ1回にできていますか?」と問いかけた上で、心理学の過去の研究成果を引用しながら、この方法の正当性を説明しています。なるほどなあと思いました。

本書を読んで、結局人間は心が太らせているのだなあと思いました。人間以外の動物は、お腹が空くから食べるのに、人間は「お腹が空いていると思って食べる」のです。そうした思い込みをある程度克服できた今だからこそ、それは強く実感できます。しかし、ダイエットに取り組む前の私だったら、きっと理解はしても、納得はできなかったろうと思いました。

小澤さんは、これまで何度もダイエットに失敗してきたそうです。けれどもこの方法で、ばっちり身軽になったのだとか。今はやせすぎて困っているほどとのこと。ですから本書は、これまで何度か失敗してきた人向けなのでしょう。ダイエットに関する基本的な知識はすでに持っているわけですから、あとは心の持ちようをいかに変えるかです。本書は、そうした意識改革にきっと役立つことでしょう。

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