タイプ分けを知ってアプローチするとうまくいく
「図解コーチング流 タイプ分けを知ってアプローチするとうまくいく」伊藤守:監修/鈴木義幸:著(ディスカヴァー)
以前「図解コーチングマネジメント」という本をご紹介しました。「コーチング」といわれるマネジメントスタイルを採り入れると、上司と部下の円滑なコミュニケーションが可能となるので、そのための態度変容や意識変容を促すような内容が解説されていました。
本書は、同書の著者である伊藤さんの監修。相手のコミュニケーションタイプを把握し、それに応じた対応をしましょう、という本です。この主旨が本書のカバーに端的に書いてありました。
相手があなたと同じように感じるわけではありません。相手を動かすには、自分と相手の物事のとらえかたを知り、もっとも効果的なアプローチ法をとることが必要です。
このように人を類型化して捉える手法は、妥当性はともかく、古来からずいぶん行われてきたように思います。血液型、星座(誕生日)、県民性、名前の字画、などなど。おそらく人間の脳みそは、類型化して分かったような気になると安心できるようになっているのでしょう。でなければ、これほど古今東西類型化のネタが生まれるはずがありません。
こうした占いの類と同一視したら叱られそうですが、本書で説明されている「人間のタイプ分け」は、基本的構造は同じであるように感じました。つまりタイプ分けはあくまで手段。目的は、適切な組織コミュニケーションを構築することにあります。実際本書でも、タイプ分けを絶対視しないようにとの注意書きも書かれていました。
さて前置きが長くなりました。本書で示されているのは次の4つのタイプです。著者の鈴木さんたちの調査によると、人間のコミュニケーションタイプは、「自己表現」と「感情表出」の2軸で分類できる、ということで左図のようにまとめられています。
タイプの名称とその特徴は、本書の小見出しには、次のように書かれていました。
- 人をも場をも支配しようとするコントローラータイプ
- 人に影響を与えたいプロモータータイプ
- 人間関係が何より大事 サポータータイプ
- 沈着冷静慎重派 アナライザータイプ
自分はどのタイプに属するのか気になるところですよね。なので、PART1の「自分のタイプを知ろう」では、その簡単なチェックテストが掲載されていました。私も早速やってみたところ、なかなか興味深い結果が得られました。どのタイプに属したのかはあえて書きませんが、確かに面白いセルフチェックだなあと思います。
この手法に基づいて、本書では以後PART2「まわりの人のタイプを知ろう」、PART3「それぞれのタイプとの接し方を知っておこう」、PART4「タイプ別リーダーシップのとり方」と続きます。このうち、特にPART4のタイプ別リーダーシップというのは、その点で悩んでいる方にはとても参考になるのではないでしょうか。これまでのリーダーシップ本は、多くの場合、コントローラータイプやプロモータータイプの人のマネジメントスタイルが中心だったように思うからです。組織でリーダーを任されるのは、何もそうしたタイプの人ばかりではありませんからね。
それともう一つ、この考え方は、学校、特に中学校や高校のグループ学習に応用できるのではないでしょうか。
グループ学習の効用については、「父として考える」でも著者のお二人が再々説いていました。けれども、小学校ではよく見られるこの学習法が中学・高校で激減するのは、グループ分けが難しいからではないでしょうか。小学校の先生は、ほぼすべての教科を一人で教えることなどから、子どもたちの正確や人間関係をよく把握していらっしゃいますが、教科担任制の中学・高校ではなかなか難しいものがあります。
その点このタイプ分けを使ってグループ分けとそこでの役割を決めれば、生徒たちが先生の恣意性を感じることなく活動に取り組めるのではないかと思いました。
むろん、そんな単純な話ではないかもしれませんが、一つの参考にはなるように思います。ビジネスコミュニケーションと教育の接点を感じた一冊でした。
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