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2010年9月24日 (金)

40歳の教科書

「40歳の教科書 親が子どものためにできること ドラゴン桜公式副読本『16歳の教科書』番外編」モーニング編集部/朝日新聞社:編(講談社)

「ドラゴン桜公式副読本」のシリーズでは、以前「16歳の教科書」と「16歳の教科書2」をご紹介して参りました。本書はその番外編で、親向けの本だそうです。

「副読本の番外編」というのは、なんとも込み入った位置づけだなあと感じますし、第一「二匹目のどじょう」臭がぷんぷんにおいます。店頭で本書を見かけたときは、正直苦笑してしまったものの、手に取って読み始めてみると、なかなかの本でした。

これまでのシリーズと同様、本書の編集主旨は「開講の辞」と題され、ドラゴン桜の主人公、桜木建二が語っています。内容も、やはりこれまで同様、なかなか読ませる文章でした。冒頭部分を簡単に要約してみます。

勉強や進路に悩んでいるのは、子どもたちよりもむしろ親かもしれない。子育てや教育にマニュアルや模範解答はないのだから、それも当然だ。だからまず、世にあふれる子育て論や教育論を「仮説」ととらえよう。その上でそれを「検証」する姿勢を持ちたい。そのためには、とにかくたくさんの意見に耳を傾けることだ。異なる意見や価値観に触れることで視野が広がるし、考える。今回総勢14名のスペシャリストに特別講義をお願いしたのは、そういうわけである。

子育てや教育について、たくさんの意見に触れることが「検証」になるかどうかは措いておくとしてcoldsweats01、「多様な意見に触れながら自分の子育てをふりかえる」という過程は、なるほど必要だと思いました。考えてみれば、親は教える存在としては、毎年初心者です。小学校1年生の親の初心者、2年生の親の初心者という具合に。初心者だからこそ、きちんと振り返ることが大切なのです。

ですから本書に掲載された識者の意見は、テーマごとにそれぞれ異なる立場から述べられており、時には正反対の意見も掲載されています。通常の書籍ではあってはならないことですが、本書の目的は多様性ですから、それも魅力の一つになっています。掲げられているテーマは大きく4つ。時宜を得た話題が中心となっています。

  • 英語はいつから学び始めるべきか?
  • 中高一貫校は幸せへのプラチナチケットか?
  • 「お金」と「仕事」をどう教えるか?
  • 挫折や失敗をした子どもにどう接するか?

このうち英語教育のテーマでは、鳥飼玖美子さんの意見に最も説得力があると感じました。「英語コンプレックスから解放されて、中途半端な小学校英語は止めましょう。そのお金を中学校英語の充実に」という主張は、真っ当だし実現性が高いと思いました。
お金と仕事のテーマでは、マンガ家の西原理恵子さんの意見に迫力がありました。西原さんは、壮絶な人生を歩んでこられただけに、このテーマには強い信念を持っておられるのでしょう。理論社から同じテーマのティーン向けの本を出していることからもわかります。「『自由』と『責任』って、有料なんですよ」という主張は、経験したものだけが語れることでしょう。自治体や学校に過度のサービスを求める人たちを痛烈に批判する論調は、迫力がある上に論理的なので、かなり納得できました。

本書には他にも頷ける意見がたくさんありました。これだけの人の意見が読めて、880円というのは、リーズナブルだと思います。通勤の時など、空いた時間に読むのに最適な本ではないでしょうか。

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