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2010年10月25日 (月)

Newsweek (ニューズウィーク日本版) 2010年10/27号

「Newsweek (ニューズウィーク日本版) 2010年 10/27号」阪急コミュニケーションズ

これだけ有名な雑誌にもかかわらず、実はこれまで読んだことがありませんでした。外国の有名雑誌の日本版というのは、なんだかしっくりこないイメージを持っていたからです。けれども日経サイエンスを愛読するようになって、翻訳雑誌への偏見が無くなったこともあり、今回読んでみることにしました。特集記事となっている「世界に広がるエネルギー教育」というタイトルに惹かれたからでもありますが。記事にはこんなリードがついていました。

気候変動について学ぶドイツの3歳児。省エネ競争に夢中のイギリスの小学生。子どもがエネルギーに関する正しい知識と習慣を身につければ、大人の行動も変えられる。教え方のポイントは「聞くこと」より「すること」を重視する実践的アプローチだ。

記事はイギリスのエネルギー教育の授業の様子から始まります。「エネルギーバスター」と呼ばれる巡回指導員が小学校を回り、子どもたちとエネルギーの節約について話し合う授業を展開するというのです。簡単な紹介ではありましたが、彼らが講義型の授業ではなく、体験型の授業を展開していることがよくわかる記事でした。
日本では、何か事件があるたびに、心の教育、食育、情報モラル教育など、新たな○○教育がどんどん追加されていますが、それを実現するための資金的あるいは人的支援はありません。その点、イギリスでは、環境保護団体がエネルギーバスターを派遣しています。こうした方法なら、現場の負担は最小限ですし、教える側は授業を繰り返せば上達するでしょうから、教育効果が上がるはずです。つまり一挙両得。新しい教育を本気でやろうとするなら、まず人材育成からだよなあ、と思いました。

記事はさらに、こうした取り組みは、ドイツやアメリカ、フランスでも始められているものの、それぞれお国柄を反映した問題がある、ということで、それぞれ具体的に書かれていました。この中で興味深かったのは、フランスの教授法について。「知識を持つ教師が知識のない生徒に教えるのがフランスの伝統的教育法」だということ。欧米はどこも皆、子どもの自主性を尊重した授業をやっているわけではなかったようです。

そして最後に、教え方の問題にも触れていました。「節約しないと、海面上昇で世界は沈没」などと子どもを怖がらせるのは最悪、ということでドイツの失敗例を挙げながら、「学校だけでの取り組みでは上手く行かないこと」「子どもたちに責任を持たせる形だと実効が上がること」などが紹介されていました。ただ、諸外国の場合、いずれもちゃんとしたNPOが人的支援を行っているようです。この点が日本とは大きく違うなと思いました。

ビジネス系雑誌の教育記事というと、トピック的な授業を取材しただけで、その背景となっている学校や教育行政の事情については触れられない場合が多いので、教え方まで踏み込んだこの記事には少々驚きました。さらに記事中には、新しい学習指導要領で、エネルギーに関する記述が追加されている、といった記述もありました。非常に丁寧な取材ぶりだと思いますし、同時にアメリカ版の記事を単純に翻訳しているのでないことがわかります。

他に興味深かった記事としては、「いじめ超大国アメリカの悲劇」があります。日本でのいじめ報道は、いじめた側ではなくいじめのあった学校を叩く、という奇妙な構図がありますが、アメリカではいじめた側を徹底的に叩くのだそうです。それも、いじめをした子どもが使った言葉以上に汚い言葉で。それだって立派ないじめだろう、というのがこの記事の主張でした。なんとなく、いじめは日本固有の問題のように感じていましたが、もちろんそんなことはないのだということに、改めて気づかせてもらいました。

ニューズウィーク日本版、今後もチェックしていきたいと思います。

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