« 教育の情報化と著作権教育 | トップページ | コピペ問題 »

2010年11月26日 (金)

日経サイエンス(2011年01月号)

「日経サイエンス2010年12月号」(日本経済新聞出版社)

なんだか頼まれてもいないのに、完全に日経サイエンス誌の宣伝担当になっています。もっとも、ピント外れの記事で、かえって逆宣伝になっているかもしれませんがcoldsweats02

さて、今月号で気になった記事は、新連載である「挑む」と、特集記事である「南極に巨大レーダー」、それから「量子暗号通信 実運用へ」の3つです。

まず「挑む」は、気鋭の研究者をルポする、というコンセプトとのこと。おそらくは、茂木健一郎さんの対談企画の後継に当たる記事なのでしょう。今回は、超精密時計を研究している香取秀俊さんが取り上げられていました。
もともと地球の大きさを基準に考えられたメートルという単位が、現在では別の定義がなされているように、今、「秒」の定義が見直されようとしているのだそうです。この記事は、次のような魅力的な書き出しで始まります。

時間は、実は柔らかい。1cm高いところに移動すると、重力がわずかに小さくなり、相対論の効果で、少しだけ速く進む。ただしその差は、1秒間に0.000000000000000001秒。300億年に1秒だ。香取秀俊は、この18桁目の数字を検出できる超精密な「光格子時計」を提唱し、今、その実現に王手をかけている。

地球から1cm離れたら、ちょっとだけ時間の進みが遅くなるなんて、なんかすごくないですか。説明されれば「なるほど」と思わざるを得ないものの、普通は「それって計算上の話で、現実には意味ないでしょ」ということになりそうす。けれども、香取さんはそれを測定できる時計を開発しているのだとか。「そんなに精度の高い時計を作ってどうするの」という方は、ぜひ本誌をお読み下さい。記事の終わりに紹介されている香取さんの言葉、「研究は基本的に遊びでないといけない。仕事になっちゃいけないんです」が、とても印象的でした。

次に「南極の巨大レーダー」の話題。昭和基地の近くに巨大レーダーを建設し、地球規模の大気の変動をいち早く捉えるためのプロジェクトが進行しているとのこと。南極の美しい写真とともに、レーダーで何を測ろうとしているのか、その設置にはどのような技術的課題があり、それをどう克服していこうとしているのか、という記事でした。近頃「グローバル化」という言葉を聞かない日はないですが、経済だけでなく気象研究もグローバル化しているのだなあと実感しました。
また、この記事の直後に掲載されている、南極観測隊(2008年12月~2010年3月)に参加されていた、高校の先生による南極のレポートも興味深いものでした。珍しい雲やオーロラなどは当然としても、「静電気でパソコンが壊れることがある」とか「流れ星が少ない」「星が激しく瞬き、しかも色を変える」といった話が興味をそそりました。今月号には、この先生が撮影した写真を使った2011年のカレンダー付録としてついているのも魅力的です。とても美しい写真ばかりでした。

最後に「量子暗号通信」の話題。現在の暗号化技術は、数学の理論でできあがっているために、将来コンピュータの性能が向上した場合、破られる可能性が高いのだそうです。それで、どんなに計算速度が上がっても破られることのない量子暗号化が創案され、産学連携にて実運用が始まったという記事は、「おお、暗号化の分野でも日本の技術が!」と期待させてくれます。それと同時に、この技術の実用化に向けての大きな課題も紹介されていました。なかなか一筋縄では行かないものです。だからこそ取り組む価値があるのでしょうけれど。

一方で、「ロボットの良心回路を作る」という記事は、ロボットに倫理性を持たせるということの説明が、今ひとつ理解できませんでした。まあ人工知能の深い部分を説明しようとすると複雑になってしまうので仕方がないと思いますし、根本的には、私の理解力の問題が大きいとは思いますが。表紙に記載された「良心回路」というタイトルに、キカイダー世代の私としては、激しく反応してしまいました。(キカイダーをご存じない方、すみません)

それにしても今号は2011年1月号。もうお正月かぁと思います。年々歳々短く感じるようになってきた「1年」という時間を、なんとかしてくれる科学技術は開発されないものでしょうかthink

|

« 教育の情報化と著作権教育 | トップページ | コピペ問題 »

雑誌」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/29188/50117811

この記事へのトラックバック一覧です: 日経サイエンス(2011年01月号):

« 教育の情報化と著作権教育 | トップページ | コピペ問題 »