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2011年2月10日 (木)

「スコーレNo.4」補筆

Kando

先日来Twitter(@muratyan79)で何度かつぶやいていた通り、本書の感想文を書くのには、結構苦労しました。よかったと思える本ほど、紹介したい内容が多いほど書きにくいものです。「苦労してこの程度かよ」と言われそうですがcoldsweats01、そこはご愛敬ということで。まあ多くの場合、あれこれ書き直してよくなることは、まずありません。

この推敲過程で、できれば書きたかった本書の魅力を2つもそぎ落としてしまいました。

そのうちの一つは、解説が素晴らしいこと。文芸評論家の北上次郎さんという方がお書きになっている解説は、本書のよさを端的に説明していました。
宮下さんの情景描写の美しさを説明して始まった解説は、徐々に熱を帯び、終盤次のような言葉に結実して行きます。

派手なところは一つもなく、ケレンたっぷりの仕掛けもなく、丁寧に描いているだけだが(これがいちばん難しいのだが)、そのことによってヒロインの青春が見事に立ち上がってくる。静謐で、素直で、まっすぐだから、現代では目立ちにくいが、しかしこの長編を読み終えると、希望とか善意とか夢、そういう前向きなものを信じたくなる。それを背景に隠していることこそ、この長編の最大の魅力といっていい。

ああ、まさにその通り。読んで得した気分になれる解説でした。

それから、もう一つの魅力は本書の表紙イラスト。日端奈奈子さんという方の描いた絵が、実によいのです。
左は単行本の表紙、右は文庫版です。いずれも日端さんのイラストと思われます。どちらもすばらしいイラストですが、本書のイメージからすると、私は断然文庫版のイラストが優れていると思いました。北上さんの言う「希望とか善意とか夢、そういう前向きな」感じが良く出ているからです。

単行本がよく売れたから文庫化されるわけで、そういう意味では、表紙イラスト変更というのは、出版社にとって冒険でしょう。変更する以上、良くなって当たり前、悪くなれば袋だたきに遭うわけですから。でも、これは成功例でしょう。間違いなく本書のイメージアップに貢献しています。

そんなわけで、「スコーレNO.4」。内容はもちろん、表紙も解説も含め、前向きになりたいあなたにお勧めしたい一冊です。

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受信: 2011年2月11日 (金) 07時31分

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