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2011年2月 7日 (月)

命を脅かす! 激安メニューの恐怖

別冊宝島1707 命を脅かす! 激安メニューの恐怖」(宝島社)

ときどき別冊宝島が読んでみたくなることがあります。タイムリーな話題を、ちょっと大げさに書いているところが好きなのです。書店で立ち読みしていたとき、本書が目に止まりました。

派手で刺激的な表紙はもちろん、冒頭には読者の危機感を煽るようなタイトルが掲載されています。

「添加物大量摂取」時代の到来!
「安くて美味い」に隠された、リスクとは?

それに加えて、前書きに当たる編集部の文章も、かなり扇情的です。

食品の場合、手間と金をかけずに「美味さ」「見た目の良さ」を演出するために、本来なら必要のない添加物が大量に使われている。添加物の中には、法的に使用が認められてはいても、大量摂取による人体への悪影響が懸念されているものが多数ある。(中略)つまり、現在の激安ブームとは、「安さ」と引き換えに、かつてない大量の異物を、知らず知らずのうちに体に摂取しているリスキーな時代ともいえるのだ。(中略)
そろそろ「食のリスク」について真剣に考えるべき時に来ているのではないか。本書のねらいも、まさにそこにある。

書店で立ち読みして、この部分を読んだときまでは、正直なところトンデモ本、あるいはエンターテインメント本だと思っていました。少しの事実を大げさにかき立てれば、みんなが注目しますしおもしろいですからね。

けれども本書は、読んでみると結構ちゃんと取材して書いているなと感じました。というのも、私は農家の倅ですから、現在の農業の事情、特に野菜農家の事情については一般の人よりもよく知っているつもりです。本書の中で、激安野菜のカラクリについて記載された部分は、野菜流通の特徴と問題点、生産者の意識などを取材しないと書けない内容になっていました。だとすると、他の記事もそうやってちゃんと取材したのでは? と思えてきます。

たとえば「業務用スーパーに行くと、1kg300円ほどの激安中華麺がある」という記事では、「なるほど」と思える理由が説明されていました。

小麦粉は輸入の際、高率の関税が掛けられるが、混ぜものを15%以上加えれば小麦粉調整品といって高率の関税を掛けられることなく低価格で輸入できる。麺が黄色いのは、くちなし色素やかんすいを15%以上混ぜて輸入し、関税を避けているからだ。

これだけだと、単なるコストダウン手法のように見えますが、15%混ぜものをする理由のもう一つが、小麦粉の品質の悪さを隠すためだと言います。もしこれが本当なら「企業努力」と笑っていられません。
本書ではこうした話題が実にたくさん紹介されていました。

もう一つ、私の実感と一致した記事が「グルタミン酸ナトリウムと緑内障のコワ~い関係」という記事。弘前大医学部の研究によれば、化学調味料の代表であるグルタミン酸ナトリウムを多量に取ると、緑内障の危険が増すのだそうです。この記事を読んで、最近緑内障の手術をした親戚のことを思い出しました。この方は食事の時、何にでも味の素を振りかけていたのです。今や添加されてない食品を探すのが困難なこの調味料、過剰摂取の問題が、科学的に指摘されているという事実に驚きました。

とはいえ、すべての記事がこうした説得力にあふれていたわけではありません。たとえば「揚げ物に使う油を使い回すと発がん性物質が発生する」という記事では、肝心の発生物質の名前が書いてないので、まったく説得力がありません。
その意味で、本書は「知的複眼思考法」で紹介されていた、「創造的読書」の練習には最適な本だと思いました。たとえ短い記事であっても、「主張は何か、その根拠は何か」という問いは立てられますし、何より数が多いですから、ドリル学習のような感覚で読み進めることができます。

読む力が鍛えられて、食品の危険性についての雑学が身につく、そんなお得な一冊だと思いました。

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