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2011年3月 7日 (月)

日経サイエンス(2011年4月号)

「日経サイエンス 2011年4月号」(日本経済新聞出版社)

今月は、なんだか日経サイエンスらしからぬ特集&表紙です。「セックスの始まり」というテーマに加え、♂マークが♀マークに突き刺さっているイラストが表紙ですからね。一瞬SPAかと思いましたheart02。ウソですけど。なんとなく、広辞苑でエッチな言葉を調べてコーフンしていた思春期の日々を思い出しました。

とまあ、勝手に盛り上がって読み始めた本誌ですが、当然ながら実際には極めて知的刺激にあふれる内容でした。まずは、記事冒頭に示されている「KEY CONCEPTS」をご紹介します。

  • 脊椎動物での体内受精は、3億5000万年前にサメなどのグループで始まったと考えられていた。
  • だが新たな化石の発見により、交尾と、母親が卵の形ではなく、体内で子どもにまで育ててから出産する繁殖法は、それより数千万年も前から原始的な魚類のグループで始まっていたことが分かった。
  • これらの発見は、私たち自身の生殖器や身体の他の部分の起源に新たな光を投げかけている。

まず個人的に驚いたのは、体内受精の起源がさかのぼったことではなく、立体の化石というのが存在するということ。化石と言えば、ぺしゃんこに潰れた生物の痕跡、というイメージを持っていましたので。2005年に発見された、この原始的な魚類(板皮類)の立体化石から、胎児とそれに巻き付くへその緒を発見したのだとか。
この記事は、いろんな意味で学問的な記事だなあと思いました。つまり知的好奇心を揺さぶってくれる上に、実生活やビジネスの役には立たないですから。「生殖の起源が分かったからどうなのだ? 何に役立つの?」と言われれば、返す言葉はありません。たぶんあまり役には立たないでしょう。けれども世の中は、本当に役に立つものだけで構成されているでしょうか。音楽は? 俳句は? 美術は?・・・一見世の中の役に立たないように見えるものも、役に立つものと同じくらい、重要なものなのだと思います。
そう考えると、日経サイエンス誌や、サイエンティフィック・アメリカン誌が、図版の美しさやドラマチックな記事文にこだわっている理由がわかるような気がします。乱暴に言えば、先端科学と芸術は、どこかでつながっているのかも知れません。そんな思いを強く感じた記事でした。

図版の美しさというと、今回では「水星探査機到着!」の記事が白眉でした。 元来天体にはほとんど興味のない私ですが、アメリカの探査機「メッセンジャー」が撮影した?水星の表面の写真は美しく、食い入るように見てしまいました。さらには、水星の磁気圏や大気、地殻やマントルの様子を一元的に描いた図にも。

本誌では他に、アレルギー反応に関するミニネタが目を引きました。時節柄でしょうか。ある種のビフィズス菌に、アレルギー反応を抑える効果があるらしい、というのは、最近Twitter上で、「ビオフェルミンが花粉症に効く」という情報がやりとりされていたことと相俟って、印象深く読めました。一口にビフィズス菌にいろいろ種類がある、というのも新発見でした。
もう一つのアレルギーネタは、「お腹に寄生虫を飼うと大腸炎などの自己免疫疾患を和らげる」という記事。これも、以前どこかで花粉症のネタとして聞いた覚えがあります。昔、小学校で「ギョウ虫検査」というのをやらされ、陽性だと「虫下し」のクスリを飲まされる、という経験をもっている私たちの世代は、「寄生虫=悪者」だったわけですが、ことアレルギーに関しては、そうでもない場合があるようです。まさしく「あちら立てればこちらが立たず」状態。世の中、なかなかうまく行かないものです。

それからいつも注目している「挑む」。今回は体細胞クローンづくりの名手、若山照彦さんの特集でした。とても興味深く読めましたが、生命科学に常について回る課題、生命倫理の問題について、若山さんがどのように考えておられるのか、記事にして欲しかったなと思います。

以上日経サイエンスファンの最新号レポートでした。

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