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2011年5月30日 (月)

日経サイエンス(2011年7月号)

「日経サイエンス 2011年7月号」(日本経済新聞出版社)

今月号は、先月の大震災特集ではスルー気味だった原発事故とその対応について詳細に報じる特集「レベル7からの出発」が巻頭です。さらに、「今だから考えるエネルギー技術7」という、現在研究されている新しいエネルギーに関する記事が続いています。
科学雑誌が取り扱う原発事故と新エネルギー。これはいつも以上に期待できそうだ、と考えながら読み始めました。

「レベル7からの出発」の記事冒頭にあるサマリーには、次のように書かれていました。

  • 想定外の大津波が招いた福島第1原子力発電所事故は、原子炉内の燃料棒が損傷し、放射性物質が環境中に大量に放出される事態となった。
  • ただ、大津波に襲われても大事故に至らなかった原発もあり、同じ福島第1原発でもダメージを免れた原子炉もある。その理由を探り、事故の推移を追っていくと、将来の原子力安全につながる教訓が得られる。

一読後、正直「あれ?」と思いました。これだと一般マスコミが報じている原発事故報道と似通った目新しさのない内容ですし、ポイントが「そこから得られる教訓」っていうのは、ぴんと来ませんでした。それに第一「想定外の大津波が招いた」事故、というのは、事故報道を総合して考えると、異論もあるところでしょう。さらに「将来の原子力安全につながる教訓」ということは、原子力エネルギーの継続を前提にしています。確かにそういう考え方もあると思いますし、私自身そうした考えを完全に否定するものではありません。しかし、記事のバランスとして推進一本槍でよいのかな、という気持ちはありました。
実際、この記事を作成中だったときには「燃料棒が損傷」という公式発表だったものが、先日メルトダウンであったことが公式に認められました。メルトダウンについては、事故当初から一部識者・ジャーナリストから指摘があったわけですし、特に海外メディアはほぼ断定的に報じていました。本誌はサイエンティフィックアメリカンの日本版、という位置づけなのですから、当然そうした見方を把握していたことでしょう。なのにどうしてこのような記事になるのでしょうか。
様々な事情でこうした記事にせざるを得ないにしても、「海外メディアはこう見た」といった記事によって、バランスを保つ、という編集方針もあり得たと思います。私も大人ですから(笑)、理由はいろいろと想像できますが、もう少しなんとかならなかったのかと非常に残念な気持ちになりました。

続いて掲載された「今だから考えるエネルギー技術7」という記事は、ユニークな技術が並んでいて楽しめたものの、冒頭の技術が「核融合で起動する原子炉」ですから、ちょっと引きました。おそらく3か月前だったら興味深く読んだ記事だったろうと思います。しかしやはり雑誌というのはタイムリーな情報提供が命。これは果たして適切な話題だったのだろうかと思いました。

今まさに求められているのは、放射線の人体に与える影響について、医学的生物学的見地からの正確な情報ではなかったでしょうか。特に子どもたちへの影響について。とかく流言飛語が飛び交いがちな災害報道にあって、そうした科学的に正確な記事が掲載されればどんなに役立つことでしょう。

一方で被災した東北大学の復興への取り組みを取材した記事は、興味深く読めましたし、死海の環境問題の記事は、内容もさることながら非常に美しく分かりやすい写真が使われていて、非常に良かったです。それだけに、巻頭特集が残念でなりません。

なんだか、いちゃもんを付けるために書いた記事のようで恐縮ですが、日経サイエンスファンとして敢えて書かせていただきました。次号に期待します。

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