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2011年5月19日 (木)

続・星守る犬

「続・星守る犬」村上たかし:著(双葉社)

以前「星守る犬」を読んだとき、その評判ほどには感動できませんでした。画面構成や話の展開などは、「うまい」とは思いましたが。

それが先日知人から「続編の方がいいらしいよ」という話を聞き、少々心が動きました。「続編が悪い」という話はこれまで山のように耳にしていただけに、興味が湧いたのです。書店に行くと、まもなく映画が公開されるということもあって、大々的に並べられていました。

『星守る犬』の正統続編。「泣けた本第1位」など多数受賞しヒット、2011年6月には映画が公開される同作の続編となる本作は、漫画アクション掲載の「ふたご星」「財布泥棒少年」続編2本を大幅加筆・修正、そして単行本のための新たな描き下ろし続編一本を収録。第1作と対を成す“生”そして“救い”をテーマにしたもうひとつの『星守る犬』。

アマゾンの内容紹介には、以上のように書かれていました。「正統続編」とは聞き慣れぬ言葉です。文脈から類推すると、どうも「前作を含め、2冊で1作品」という意味でしょうか。週刊誌に掲載された作品を加筆修正して単行本化するのは、いくら1作目が売れたとは言え、リスキーなことです。それだけに、作者はもちろん、編集者の意気込みも伝わってくるような紹介文でした。

そして肝心の作品は、確かによく練られた構成でした。冒頭の「双子星」は、いわば前作のアナザーストーリー。アクションに連載されていたときは「ふたご星」とひらがな表記だったようですから、今回の加筆修正に当たって、表記を変更したようです。
前作は、道ばたに段ボールに入れられ捨てられていた犬が、小学生に拾われる、というところで話が始まりました。本作では、「実はその段ボールには、もう1匹の犬がいた」ということからスタートします。

この2匹は双子の犬ということで、姿形がそっくり。けれども、本作で登場する犬の方は、先天的な病気を抱えていて、今にも死にそうな状況。

この設定が、後々物語の展開に大きく関わってきます。

2番目の作品は、アクション連載時は「財布泥棒少年」というタイトルだったようですが、本書では「一等星」と改題されています。このお話は、前作において「万引きをとがめられたピンチを救ってもらったのに、財布を盗んで逃げてしまった少年」の生い立ちとその後です。なかなかやるせないシーンが続きます。

紹介文に「第1作と対を成す」とあったように、両作は様々な点で密接に呼応しています。さらに作品内でも「双子星」と「一等星」は関わっており、巻末に収められた、おそらくこの単行本のために書き下ろされたであろう「星守る犬」において、二つの話は完全に交わります。

とまあ、実に良くできた話ではあるのですが、私にとっては前作同様「心から感動」ということにはなりませんでした。しかし、その原因が分かりません。物語の骨格や伏線の張り方はもちろん、登場人物の性格設定やリアリティの面で大きな破綻はありません。両作において、登場人物の思考の転換点に効果的に位置付いた「薬」の存在など、小技も効いています。なのに、心があまり動かないのです。

映画公開前にネガティブな感想で大変申し訳ありません。ネットでは高評価のレビューがほとんどですが、どうにも賛同できないのです。だんだん自分が鉄面皮の人間だと思えてきました。どなたかに感動ポイントを教えていただけるとうれしく思います。

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