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2013年1月28日 (月)

ルポ労働格差とポピュリズム

「ルポ 労働格差とポピュリズム――大阪で起きていること」藤田 和恵:著(岩波ブックレット)

 書店で本書を手にしたとき、帯のようにデザインされた部分には、「ヒーローに何が託されているのか」と題して次のような文章が書かれていました。

半年先に仕事や住まいがあるかどうか分からない。フルタイムで毎日働いても暮らせない。将来の不安を思うと結婚にも二の足を踏んでしまう。政権交代をしても変わらない、そんな閉塞的な状況とともに広がってきた、強いリーダーシップへの期待。複雑なはずの問題も一刀両断してみせる「英雄」に、何が託されているのか。

正直言って、「また橋下批判かあ」とうんざりしました。もちろん批判は大切なことですが、「ルポ」とある以上、公平な立場で取材しないと面白くないよなあと思ったのです。
ところが、ぱらぱらと立ち読みしてみると、なかなか面白い部分が出てきました。本書の各章において、橋下さんを支持した市民の生の声が収録されているのです。章立ては次の通りです。

  1. 文書捏造事件
  2. 公務員に向けられる憎しみのまなざし
  3. 無法地帯と化す委託現場
  4. 民間でも求められる”英雄”
  5. 橋下支持層の正体
  6. 労働運動の転換への模索

彼らの意見と、取材者のインタビューがかみ合っていないところなど、リアリティがありました。著者の藤田さんは、橋下さんの政治に批判的・懐疑的です。これは新聞記者出身の著者にとって、あたりまえの姿勢でしょう。
けれども、エモーショナルな論説に走らず、住民の声や識者の声を取り上げながら、できるだけ冷静に論述しようとしている姿勢が感じられました。政治問題を扱う上で、大切な視点だと思います。

第6章は、本書のまとめであると同時に、藤田さんによる提言が込められています。乱暴にまとめれば「労働組合に課せられた今日的課題とその解決への道筋」とでもなるでしょうか。うなずける部分の多い、一読の価値ある提言です。

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