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2014年10月13日 (月)

ぼくはアスペルガー症候群

「ぼくはアスペルガー症候群」権田真吾:著(彩図社)

 自閉症やアスペルガー症候群の人自身が書いた本は、以前は海外の翻訳物でしか見かけませんでした。それが最近は、続々と発行されています。中にはベストセラーになるものさえ出てきました。それだけ世間の関心が増していると言うことでしょう。
 本書もそうした一冊です。単行本から文庫になったと言うことで、関心の広がりを感じさせられます。

 タイトル通り、本書は、アスペルガー症候群である著者の権田さんの就職や就労生活、学校生活において経験したつらさが具体的に書かれています。そのつらさの中身は、目次を見ると、だいたい分かるようになっています。たとえば次の通り。

  • メタ言語やあいまいな指示が分からない
  • 考えていることを口に出してしまう癖
  • 粘り強さは人一倍
  • 音に敏感
  • 二つ以上のことを同時にできない
これらの項目自体は、アスペルガー症候群の本を読めば書いてあることばかり。それでも、本人が感じたとおりの形で書いてあるので、非常に分かりやすく感じます。
 特に親や、教育関係者にとって参考になるのは、子供時代の逸話でしょう。権田さんは勉強もでき、クラスでもリーダーシップを取るタイプのお子さんだったようです。しかし、それゆえの悩みや躓きがある、ということが具体的に書かれていました。

 残念だったのは、本書の構成。あまり体系的に書かれていないので、体験の羅列という印象をぬぐえませんでした。それから、この体験は、あくまで権田さんの私的なもの。読者としては、アスペルガー症候群について知りたいから本書を買ったわけですから、この権田さんの経験を専門家が見たときどう見えるのか、文庫本によくある「解説」の部分で、そうした配慮が成されたら、とってもよい本になったのになあと感じました。
 読みやすく具体的な本だけに、その点が非常に残念に感じました。

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